県内の喫煙者はニコチン依存症治療予備軍が多く、受動喫煙防止の条例制定に激しく反対し、禁煙への意欲も低い。医薬品メーカー「ファイザー」(本社東京)が喫煙者を対象にした意識調査で、福井県は全国でも有数の「喫煙大国」である半面、配偶者や恋人の喫煙には否定的な人が多いという傾向も示された。
 調査は十月六〜九日、全都道府県の喫煙者各二百人にインターネットで四十一問のアンケートをした。福井の内訳は男性百二十六人、女性七十四人。集計によると、一日当たりの平均喫煙本数に喫煙年数を乗じた喫煙指数「ブリンクマン指数」で禁煙治療の保険適用条件の一つとされる「二百以上」となった県内の喫煙者は二百人中、百三十五人と全国二位。十項目の質問から判断した「ニコチン依存症者数」も百二十八人いたが、こちらの順位は四十二位と相対的に下位だった。この矛盾に同社は「ニコチン依存症者は少ないかもしれないが、治療が必要になる依存症予備軍は多いとみられる」と分析する。県内の喫煙者は禁煙への意識も低い。この一年間で挑戦したのは四十四人だけで四十六位。それも、半数以上が一週間以内に断念していた。禁煙失敗と挑戦しない理由のトップはいずれも「禁煙中のイライラ」だった。全国で進む受動喫煙防止の流れにも否定的だ。条例制定「反対」する人は八十四人おり、条例が制定された神奈川、兵庫の両県除く四十五都道府県では最多。地域の受動喫煙対策についても「現在の対策で十分」が百二人と全国トップだった。
 さらに「たばこを吸い始めたことを後悔していない」「パートナー(配偶者や恋人など)の喫煙は好ましくない」はともに三位で「自分に甘く、人に厳しい」という喫煙者の意識がうかがえる。(山内道朗)

本記事では,福井県における受動喫煙に関する意識調査の結果を紹介.同調査は,同社HPを参照*1(参考になります).
同調査は,「2014年10月6日(月)〜10月9日(木)」の期間で,各「都道府県」喫煙者を「200サンプル」として計「9,400サンプル」を対象に「インターネットアンケート調査」で実施.問36では「お住まいの地域の受動喫煙対策」を尋ねており,全体の回答からは「現在の対策で十分」が43.1%」が最も多く,次いで,「現在の対策では不十分」が18.1%,「現在の対策は厳しすぎる」が11.9%との回答とある.都道府県別では,福井県が「現在の対策で十分」が51.0%,「現在の対策で十分」は11.5%,「現在の対策は厳しすぎる」は9.0%とあり,「現在の対策で十分」と答えた割合」の「ランク」では,都道府県のなかで「1位」*2とある.
また,問38では,神奈川県と兵庫県を除き,「お住まいの地域に受動喫煙を防止する条例を制定すること」を質問.全体の回答からは「賛成」が30.4%,「反対」が31.9%,「どちらでもない」が37.7%であることが分かる.都道府県別では,「賛成」との回答の割合が最も高いのは,島根県が36.5% ,次いで,青森県と福岡県の34.5% ,宮城県,東京都,山口県宮城県の34.0% と続く,方や「反対」では福井県が42.0%と最も高く,次いで多い都道府県は大阪府の40.5%,和歌山県の40.0% *3と同調査結果からは分かる.
各地域毎での対策の現状への認識を踏まえての,「喫煙場所を包括的に制限する法律や条例を制定すること」*4への認識差が窺えそうな同調査結果.実際の対策内容との関係性も,要確認.

*1:Pfizer HP(報道関係の皆様プレスリリース2014年度≪日本全国の“ニコチン依存度チェック”2014≫ 全国47都道府県9,400人の喫煙者の実態を調査し、消費税8%増税後の意識変化を分析 1年間の禁煙挑戦者29.3% 消費税5%時に比べ増加 半数が消費税10%に増税後、禁煙に挑戦する意欲あり)「ファイザー株式会社「日本全国の“ニコチン依存度チェック”2014」参考資料

*2:前掲注1・Pfizer(ファイザー株式会社「日本全国の“ニコチン依存度チェック”2014」参考資料)39頁

*3:前掲注1・Pfizer(ファイザー株式会社「日本全国の“ニコチン依存度チェック”2014」参考資料)43頁

*4:田中謙『タバコ規制をめぐる法と政策』(日本評論社,2014年)302頁

タバコ規制をめぐる法と政策

タバコ規制をめぐる法と政策