指定地区での路上喫煙を禁じる横浜市の条例に基づき、過料2千円の処分を受けた東京都の自営業の男性(64)が処分の取り消しを求めた訴訟で、最高裁第1小法廷(白木勇裁判長)は7日までに、男性の上告を棄却した。決定は昨年12月18日付。処分を適法と認めた同6月の東京高裁判決が確定した。
 東京高裁判決は、「路上喫煙規制の取り組みは次第に拡大してきたと認められる」とし、「あえて路上で喫煙するなら、その場所が禁止地区か注意する義務がある」と判断。喫煙禁止地区を知らせる路面表示の大きさなどから「(男性が)禁止地区と認識することは困難」として処分取り消しを命じた一審横浜地裁判決を覆し、市の処分を適法と認めた。男性は2012年1月、市条例で喫煙が禁止された横浜駅近くの路上で喫煙。過料処分を受けたが、「違反現場が禁止地区とは認識できなかった」として、取り消しを求めていた。
横浜市、条例の周知強化
 横浜市は路上喫煙を禁じる条例の周知強化に乗りだしている。昨年6月の東京高裁判決が、今回の過料処分は適法と認めた一方、「喫煙禁止の周知徹底、喫煙者の注意喚起に費用を掛けるのは当然」と指摘したからだ。市資源循環局業務課によると、これまで期間限定ながら、京急電鉄東急電鉄の協力を得て、駅ホームや車両内に条例を周知する広告を掲示。昨年12月からは、観光情報を発信するホームページで市の取り組みを紹介した。さらに今月、地元の情報誌に有料広告を掲載する予定だ。
 また、一審判決で「認識が困難」とされた禁止地区を伝えるシール式の路面表示についても、従来は劣化が目立ったものを交換するだけだったが、地区ごとに一斉貼り替えを進める。市内に6カ所ある禁止地区のうち、2014年度中に2カ所、15年度にも2カ所を刷新させる。将来的には、景観に配慮しつつ、外国人も理解しやすいデザインへの変更も検討するという。「処分の適法性が認められた」と判決確定を受け止める横浜市は、今後も違反者を見つけた場合は条例に基づいて過料を徴収する方針。ただ、「より丁寧に条例の趣旨を説明し、PRや表示も充実させて路上喫煙の防止を目指したい」としている。

本記事では,横浜市における路上喫煙の規制の取組を紹介.
同市では,「横浜市空き缶等及び吸い殻等の散乱の防止等に関する条例」第11条の2に基づき「美化推進重点地区内」の「屋外の公共の場所での喫煙を禁止する必要が特にある地区」「市内6地区」を「喫煙禁止地区」と「指定」し,同「地区内」の「違反者」には,同条例第30条により「過料2,000円」*1を科している.2014年1月22日付の同紙による報道によると,同日に横浜地裁では,「路上喫煙を禁じる標識が小さく,過料の制裁がある記載もない」などとして「市に処分取り消しを命じ」*2ている.同市は,同年2月5日付の同紙の報道の通り,同年2月4日付で「市に処分取消を命じた横浜地裁判決を不服として控訴」*3し,同年6月27日付の同紙の報道によると,東京高裁では「条例制定などの取り組みは,拡大してきている」としたうえで,「あえて路上で喫煙する場合には,禁止地区かどうか十分に注意する義務がある」とし,「処分取り消しを命じた一審判決を覆し」「請求を棄却」*4している.
本記事では,最高裁では「上告を棄却」したことを紹介.「訴訟をきっかけ」とした「執行状態の見直し」*5の動向は,要観察.