来年五月二十六、二十七日に三重県志摩市で開かれる主要国首脳会議(伊勢志摩サミット)で、三重県議会は二十一日、首脳会議場となる賢島の上空などで小型飛行機(ドローン)の飛行を禁じる条例案を賛成多数で可決した。県によると、ドローンの飛行禁止に特化した条例化は全国初。
 条例案は各国首脳や配偶者らの安全確保が狙いで、県が提出した。知事の許可なくドローンを飛ばした場合、一年以下の懲役か五十万円以下の罰金を科す。
 規制の範囲は賢島内の基準点から半径一・五キロで、賢島の全域が含まれる。首脳会議場以外に首脳らが訪れる施設を知事が指定した場合も、敷地内と周囲三百メートルが飛行禁止区域になる。規制期間は開催二カ月前の三月二十七日から終了翌日の五月二十八日まで。条例の施行は一月二十七日。反対討論に立った岡野恵美氏(共産)は「必要だとは理解しているが、あまりにも厳しい規制になっている」と述べた。
 国もドローンに関する法制化を進めており、住宅密集地や空港周辺での原則禁止を定めた改正航空法が今月十日に施行された。首相官邸や外国公館などの上空での飛行を禁じる法案も参議院で閉会中審査となっているが、開催地はいずれにも該当せず、県が独自に規制することにした。

本記事では,三重県における「伊勢志摩サミット開催時における小型無人機の飛行の禁止に関する条例」の制定を紹介.
「骨子案」の段階では,「規制の対象」を「小型無人機」とし,「条例の効力」は2016年「3月27日から5月28日まで」*1と限定された同条例案.「規制する場所」は,「志摩市内の賢島とその陸地から外側1.5kmで囲まれる区域」と「要人等」の「訪問先の知事の定める施設等」「その敷地の外側 300mの範囲で囲まれる区域」*2とし,「規制場所」で「小型無人機を飛行させる」場合,「知事の許可を受けることが必要」*3とされている.そして,「許可を受けずに」「上記」の「場所で小型無人機を飛行させた場合など」は,「刑事罰」に「処する」*4こととされている.「伊勢志摩サミット開催時の要人への危険を未然に防止」し,「会議の円滑な実施」と「良好な国際関係の維持」,そして「地域の安全の確保に資する」*5ことを目的に同県議会に提出された同条例案
本記事によると,2015年12月21日に可決された模様.「自治体の法政策裁量で決定できるオープン・スペース部分」*6としての同規制の実施状況は,要確認.

*1:三重県HP(県政・お知らせ情報「伊勢志摩サミット開催時における小型無人機の飛行の禁止に関する条例(仮称)」の骨子案に対する意見募集 平成27年8月12日)「「伊勢志摩サミット開催時における小型無人機の飛行の 禁止に関する条例(仮称)」骨子案」1頁

*2:前掲注1・三重県(伊勢志摩サミット開催時における小型無人機の飛行の 禁止に関する条例(仮称)」骨子案)1頁

*3:前掲注1・三重県(伊勢志摩サミット開催時における小型無人機の飛行の 禁止に関する条例(仮称)」骨子案)1頁

*4:前掲注1・三重県(伊勢志摩サミット開催時における小型無人機の飛行の 禁止に関する条例(仮称)」骨子案)1頁

*5:三重県HP(総務部新着情報一覧)「平成27年第2回三重県議会定例会 知事提案説明(追加提案・その10、11)

*6:北村喜宣『自治力の躍動』(公職研,2015年)19頁

自治力の躍動―自治体政策法務が拓く自治・分権

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