認知症などで身元不明のまま全国で保護された約340人のうち、昨年末時点で都道府県がホームページに情報を公開しているのは46%にとどまることが11日、共同通信のアンケートで分かった。個人情報の公開で「本人同意が得られない」のが主な理由で、意思確認が難しいことも背景にあるとみられる。
 これまでにHPを見た家族らが申し出て静岡や兵庫など4県9人の身元が確認されたことも判明。厚生労働省は「できる限りの情報を公開してほしい」としているが、本人の同意を得にくい場合に、ガイドラインなどで情報の取り扱いを定めていない自治体も多く、国による基準策定を求める声が出ている。

本記事では,都道府県における身元不明者の保護後の情報の公開状況を紹介.同通信社による調査結果.
厚生労働省では,「行方不明となった認知症高齢者等」が「身元が不明のまま」「各市町村において保護されている場合」,「身元不明の方の情報をホームページ上で公開」している現状から,「情報公開を行っている地方自治体のホームページへのリンクの一覧」*1を作成.他方で,同通信社が実施した調査結果に基づく本配信記事によると,「個人情報の公開」への「同意が得られない」ことからも,「全国で保護された約340人」のうち,同ホームページで情報公表は「46%」であった,という.対象となる方々の現状ゆえに生じる「制度の能力」の「限界」*2が悩ましい制度の現状.今後の制度運用は,要観察.

*1:厚生労働省HP(政策について分野別の政策一覧福祉・介護介護・高齢者福祉認知症対策)「行方のわからない認知症高齢者等をお探しの方へ

*2:ハーバート・A.サイモン,『意思決定と合理性』(筑摩書房,2016年)130頁

意思決定と合理性 (ちくま学芸文庫)

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