県企業局は、来年度から下伊那郡天龍村の老朽化した村営簡易水道の更新事業を支援する方針を固めた。水道事業を営む企業局の人材やノウハウを生かし、小規模町村の水道施設整備を支援するモデル事業の第1号。2014年11月施行の改正地方自治法で創設された「事務の代替執行」制度を県内で初めて活用し、企業局が工事の設計や監督、国への補助金申請手続き、工事に伴う関係機関との調整などを肩代わりする方針だ。
 支援対象は、鶯巣(うぐす)地区の31世帯60人に水を供給している鶯巣簡易水道。村が1974(昭和49)年に整備した。村は導水管と配水管を合わせた総延長約2・8キロを19年度までに更新する計画だ。
 企業局は同村の支援に当たって、南信発電管理事務所(伊那市)の技術職員を1人増員する。期間は更新が完了する19年度まで。費用負担は今後詰めるが、同局は「村に財政的なメリットが生まれるように考えたい」としている。
 総務省によると、事務の代替執行は従来の「事務の委託」と異なり、事務を依頼した自治体側に権限を残すのが特徴。今回の場合、県企業局が事務を肩代わりするが、村が直接行うのと同様に事業方針を決められ、村議会によるチェック機能も及ぶ。地域の意向も反映されやすくなる。代替執行の活用について同省は「全国でも数件ではないか」としている。
 県は県会11月定例会に、村は村議会12月定例会にそれぞれ、事務の代替執行に向けた協議を進めることを盛った議案を提出する予定。両議会で可決されれば、企業局と村は代替執行する事務の範囲などを協議し、規約を定める。

本記事では,長野県における事務の代替執行制度の実施方針を紹介.
地方自治法第252条の16の2から同法第252条の16の4に基づき,「普通地方公共団体が他の普通地方公共団体」との間で「協議により規約を定め」「当該事務を代替執行させること」により,「事務を任せた普通地方公共団体」が「自ら当該事務を管理執行した場合と同様の効果」*1を有する同制度.本記事では,天龍村による水道施設整備を同県に事務の代替執行する方針を紹介.「制度化された協力関係」*2となる同制度に基づく「当該事務」の「管理執行」*3状況は,実施後,要確認.

*1:総務省HP(政策地方行財政地方自治制度広域行政・市町村合併)「広域連携の仕組みと運用について」6頁

*2:伊藤正次「自治と連携 自治体間連携の理論的基礎に関する一考察」『地方自治』No.817,2015年12月号,7頁

地方自治 2015年 12月号 [雑誌]

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*3:前掲注1・総務省(広域連携の仕組みと運用について)6頁