町外の人も投票できる住民投票条例案が八日、愛荘町で成立した。地方自治の在り方に一石を投じる全国でも珍しい取り組みだが、越えなければならないハードルは少なくない。
 町内には、大型工場から小規模の事業所まで多くの企業が立地している。条例は「仕事や学業で町に来ている人も町民」(宇野一雄町長)として、幅広い民意を町づくりにくみ上げる狙いがある。
 町は一年以内の施行に向け、投票場所、投票時間、投票に向けた手続き、開票方法といった規則を定める。町外からの通勤・通学者をどう定義し、投票資格者となった町外の人にどう周知するか。さらに、そうした人々の個人情報をどう取り扱うかといった課題もある。
 町の担当者は「開票結果を町内と町外で分けて集計し、公表することも考えている。投票資格の有無を明確にし、区切りを設ける必要がある」と話す。
 このほか、条例では町内在住者に限り、永住者・特別永住者の資格を持つ外国籍の人も投票資格者とした。町によると、該当者は約百三十人。町内では、ブラジルなどの外国籍の人が多く居住しており、それらの人々の民意も反映される。
 町民の一人は、条例を歓迎しつつも「転勤でたまたま町に住んでいる人が、将来を左右するであろう住民投票に参加することに、不安を感じる部分もある」と話した。(山村俊輔)

本記事では,愛荘町における住民投票条例案の成立を紹介.
2016年10月1日から同年同月31日の間実施した,同条例(骨子)における「基本的な考え方(案)」へのパブリックコメントでは,「町内に勤務・通学している方もまちづくりに参加していただいているという考え方」に基づき,「規則に定める一定条件を満たしていれば投票できる」*1 との考え方が提示.「基本的な考え方(案)」では,「規則に定める一定条件」としては,同町に「住民登録がなく,在勤・在学して3箇月以上経過し」同条例に基づく「投票資格名簿に登録されている方」*2 との考えもあわせて提示.本記事では,同条例案が可決されたことを紹介.「広い意味での住民」*3も投票資格を有することとなる同条例.実際に発議された後の投票状況は,要観察.