高橋はるみ知事は二日の道州制特区二次提案で、特定免税店制度の導入など初めて税の減免に関する権限移譲を国に求めた。中央集権の象徴ともいえる税財源分野に切り込んだことで、道と中央省庁の攻防戦はいよいよ“本丸”に突入した。省庁側の強い反発を踏まえ、知事は二月に道の提案を最大限尊重するよう福田康夫首相に要請しており、政府に後ろ盾を求めつつ、提案実現に向けた攻勢を強める考え。道と省庁の対決は大きなヤマ場を迎える。
 道が今回移譲を求めた十一項目のうち、税の減免に関する提案は《1》特定免税店制度の創設《2》観光関連施設に対する投資減税《3》企業立地促進法に基づく設備投資の減税−の三点。減税措置に伴う地方税の減収分を地方交付税で補てんすることも求める考えで、道幹部は「省庁側には腹立たしい提案だろう」と話す。今回の提案に先立ち知事は二月、自らが参与を務める政府の道州制特区推進本部に参与会議の招集を要請。「地方への権限と財源移譲に積極的に取り組むこと」などを求める意見書をまとめ、首相に提出した。権限移譲に批判的な省庁に「くぎを刺すのが狙い」(道幹部)で、道は今後もカジノ設置構想などの提案を突きつけていく構えだ。道庁内には、特区提案で省庁の機嫌を損ねることへの懸念も強いが、将来の道州制実現には権限だけでなく、財源や税源も地方に移譲することが不可欠。今回の提案の結果が道州制論議の行方に影響するのは確実で、結果を決める政府の腹づもりも試されることになりそうだ。

同記事では,北海道が道州制特区法(道州制特別区域における広域行政の推進に関する法律)第6条1項に基づく,道州制特別区域基本方針の変更についての提案(変更提案)の第二回目を行ったことを紹介.同提案に至るまでは,北海道では,「北海道道州制特別区域提案検討委員会」を設置して,提案を取りまとめてきている.未だ,変更提案の内容を把握していないため不確実だが,今回の提案は,第2回目の答申の11項目*1を受けた内容と察せられる.同法は,北海道以外では,三都府県の合併又は「特定広域団体」としての政令指定がなければ適用されないため,実際は北海道だけが適用されるため,金井利之先生の分析概念に倣えば「特例主義」*2制度.その特例主義であるが故か,今回の変更提案では,北海道にとって特例となる事務事業を提示した模様.
一方,平成20年3月21日に政府で開催された第2回の道州制特別区域推進本部を見ると,先に移譲されている事務事業の実施状況が紹介されている.その利用状況は,「国から北海道に移譲された事務・事業については、北海道において適切に実施されているとともに、申請窓口の一本化や事務の標準処理期間の短縮化といった利用者の利便性向上に資する取組が行われており、広域行政の推進が着実に進展しているところである」(1頁)*3との評価がなされてはいるもの,個別の処理件数は限られいるようにも思われる.これらの事務事業は当初の「道州制特別区域基本方針」であるため処理件数は余り北海道としても見込まれていなかったということなのだろうか.今回の提案が実現され,如何に処理されるか要観察.

*1:北海道道州制特別区域提案検討委員会「第2回答申

*2:金井利之『自治制度』(東京大学出版会,2007年)202頁

自治制度 (行政学叢書)

自治制度 (行政学叢書)

*3:第2回道州制特別区域推進本部配付資料3「事務・事業の実施状況について