大手コンビニの「ファミリーマート」(東京都豊島区)が1日、県庁1階にオープンした。都道府県庁にコンビニが出店するのは、東京都や宮城県などで例があるが、全国的にも珍しいという。県職員互助会が福利厚生の一環として業務を委託した。土、日、休日を除く開庁日のみの営業で、営業時間は午前7時30分から午後7時。弁当や飲み物などのほか、県産品を扱う名産品コーナーも設けた。初日は弁当、飲み物を買い求める職員でにぎわい、昼休みには店外まで行列ができた。豊富な品ぞろえに職員も満足そうな様子。先着600人にマイバッグも配られた。同社が県庁内に出店するのは全国初で、担当者は「名産品コーナーを充実させていきたい」と話した。

同記事では,岐阜県庁の一階に「ファミリーマート」が出店したことを紹介.昨年,岐阜県庁を訪問させていただいた時の記憶を蘇らせば,岐阜県庁は正面入口から長いロープを上り,車寄せがなされる玄関から入ったため,1階のイメージがよく沸かない.玄関から入り,階段を下った,食堂があった階が1階なのだろうか.ただ,あそこにも食品や生活雑貨等を販売していた購買部的なお店があったことからすれば,どこに出店したのだろうか.気にはなる.
一県庁のコンビニ出店の記事かと思いきや,なかなか考えさせられる内容.例えば,城下町都市であれば,各県版の「官庁集中計画」*1ともいえる計画もあってか,県庁の設置地域は,各都市の中心的地域であることが多い.つまり,交通の便も比較的が良く,あわせて繁華街も近いことが一般的.そのため,飲食,各種販売に困ることはまずはない.いわば,城下町都市であるがゆえに,都市機能が集中されている*2のだろう.ただ,城下町都市以外の都市や,城下町都市であっても都市計画によって移築した都市では,県庁が外部の者にとっては思わぬ所に置かれている地域に,置かれていることがある.個人的には,これらの県庁のことを「郊外型県庁」と心の中で呼んでいる.これらの「郊外型県庁」,如何せん外部の者(正確に言えば,自前の車を持たずに訪問する者)にとっては,交通の便が甚だ悪く,近辺に食事等をする所も限られており,難儀することになる.そのため,自然と県庁内で「オール・イン・ワン」を求めることになるのだろう.コンビニ設置の背景もこれにあると見ている.
昨年訪問させていただいた岐阜県庁についても,事前に県庁の方からは「西岐阜駅からバスを利用してくださいね」,と暖かいお言葉を頂きながらも,よせばよいのに何を思ったか,岐阜駅から降りて徒歩で向かったところ,行けども行けどもたどり着かず,更には,緩やかな小雨が降り始め,半分涙目になりながら,小一時間ほど歩き続け,漸く辿り着いた記憶がある*3.「郊外型県庁」の場合,車のない職員の方にとっては,移動や食事も大変だろうと思う.
なお,コンビニに限らずとも,地産地食の発信拠点として県庁を利用されている事例も幾つか(自主的に)観察させていただいたこともある.名産の発信力を考えれば,如何に県庁に来客するかがまずは課題となる.その一方で,来客のためには「近代化遺産」又は「権力の館」*4としての県庁の建物を安易に建て替えることは疑問もあるが,これは,また別のお話.

*1:藤森照信『明治の東京計画』(岩波書店,1982年)

*2:佐藤 滋,・城下町都市研究体編著『図説城下町都市』(鹿島出版会,2002年)11頁

図説 城下町都市

図説 城下町都市

*3:岐阜県庁HP「岐阜県庁案内図

*4:毎日新聞「権力の館を歩く アーカイブ