年齢制限を59歳まで広げて来春採用の一般事務職を募った東京都狛江市職員の追加募集で、26日の締め切りまでに213人から応募があった。最も年齢が高かったのは53歳。不況を反映してか、都内を中心に北海道や広島市からも応募用紙が届き、市は「9月に実施した定期採用試験の応募より多い」と驚いている。
 キャリアや実績を生かして即戦力になる優秀な人材を確保しようと、一般事務には、大卒者で民間企業などで5年以上の経験がある人を対象に、若干名を募集した。市職員課によると、応募者の平均年齢は38歳。最高齢の53歳は狛江市内などから3人いた。半数以上が都内在住だが、北は北海道千歳市盛岡市、西は岐阜、京都、広島市など。職業も幅広く、銀行員や証券マンのほか、スーパーや百貨店社員、ホテルマン、カーディーラーなどもいる。 8日に市のホームページに掲載。出足は鈍かったが、公務員試験の話題を集めたインターネットの掲示板に書き込みがあったこともあって、締め切り前に応募が殺到した。 来年4月採用の定期採用試験への応募は145人だった。追加募集に手を挙げた人がそれから5割近くも増えたことに、同課は「不景気風がますます強まる中で、不況に強い公務員を希望したのかもしれない」と分析している。 今回は一般技術(土木と電気)や看護師にも、大学卒業予定者のほか年齢を59歳まで認める要件を設けた。土木には33人の応募があり、最高齢は58歳。電気は3人、看護師には4人の応募があった。(佐藤清孝)

同記事では,狛江市における追加職員採用の応募結果について紹介.
同市における募集時の詳細については,同市HP参照*1.今回の募集は,一般事務と一般技術(土木・電気)が若干名,看護師が1人を公募.その「受験資格」を拝見すると,「一般事務」に関しては,学歴区分が「大学」とあり,「昭和24年4月2日以降生まれの方」「大学を卒業した方で,民間企業等における職務経験が5年以上あり,採用後その経験を生かせる方」とある.
7月27日付の本備忘録でも触れた,自治体における採用時の年齢制限の拡大の取り組み.同記事とは性格が異なるものの,12月19日付の中国新聞に報道されていたように,山口県では3名の社会人採用に対して483名からの応募(倍率161倍)があったことも報道*2.恐らくは,折からの経済危機に対する,自治体側からの取り組みの一つである「臨時職員採用」の波及も,年齢制限の拡大(社会人採用)の枠にする募集の高倍率化を招いている現状の要因にあるのかとは考えられる.
ただ,同現象,旧来の自治体の人事管理慣行へ及ぼす効果を推察すると大きな契機となりそう.つまり,同危機を契機に,雇用対策法第37条により国家公務員及び地方公務員は適用除外としてされる「募集及び採用における年齢にかかわりない均等な機会の確保」(第10条)も,各自治体の判断では,事実上,適用除外から除かれつつある様相にある.これにより,職員採用における年齢制限という規制拡大という,いわば「開かれた普遍性」(open impartiality)*3が採用機会として確保されつつあることで,従来「一括採用・一括管理としての内部管理型人事」*4(いわゆる「閉鎖型」(closed system))から,「開放型」(open system)*5(いや,正確にいいますと,「半開き」(semi-open system)でしょうか)へとも移り変わりつつあるようとも捉えることができるそうか.今後も要経過観察.

*1:狛江市HP(広報こまえ平成20年12月15日号(1020号))「平成21年度市職員募集(1020−03)

*2:中国新聞(2008年12月19日)「職員採用試験に応募殺到」」

*3:マルティア・セン/後藤玲子『福祉と正義』(東京大学出版会,2008年)200頁

福祉と正義

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*4:大森彌『変化に挑戦する自治体』(第一法規,2008年),250頁.

変化に挑戦する自治体―希望の自治体行政学

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*5:W.Richard Scott,Gerald F.Davis,Organizations,and Organizing,Pearson Prentice Hall,2006,31-32.

Organizations and Organizing: Rational, Natural and Open Systems Perspectives

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