2035年までに全国の約98%の市区町村で人口が減少する中、多摩地区は13市で人口が増加することが、国立社会保障・人口問題研究所がまとめた市区町村別の将来推計人口でわかった。
 将来推計人口は、05年の国勢調査と過去の人口動態などを踏まえ、同研究所が35年までの姿を推計したもの。5年前の前回に続き、市区町村別の推計を実施した。対象は12月1日現在の1805自治体。多摩地区では05〜35年に、稲城市(27・1%増)、府中市(17・7%増)、国分寺市(13・4%増)、町田市(12・7%増)、西東京市(9・9%増)など13市で人口が増加すると推計されている。
 稲城市の増加率は全国5位で、35年の人口は9万7224人に上ると推計された。市政策室によると、市内では近年、大型マンションの建設が相次いでいる。多摩ニュータウンの後発地域で開発の余地が残っており、緑が豊かで新宿まで電車で約40分という“地の利”もあるという。市は受け入れ可能な人口を10万5000人とみており、推計は「想定の範囲内」としている。
 一方、05〜35年に人口が41・6%減少し、65歳以上の割合が59・9%に上昇すると推計されたのは、檜原村。村では新規流入を増やそうと、村営住宅16棟を安価な家賃で若い世代に提供しており、来年3月には、村議会定例会に企業誘致条例を提案する予定だ。このほか、奥多摩町(56・5%減)、日の出町(27・7%減)、福生市(11・9%減)など16市町で人口が減少すると推計されている。

同記事では,国立社会保障・人口問題研究所における将来人口推計に基づくと,2035年までに約98%の市区町村では人口減少が推計されるなか,多摩地区(東京都)の13市では増加が見込まれていることを紹介.具体的には,同研究所HPを参照*1
同研究所HP内に掲載された「4.市区町村別男女5歳階級別データ」を拝見させて頂くと,具体的には,八王子市,立川市三鷹市府中市調布市,町田市,小金井市小平市,日野市,国分寺市,狛江市,稲城市西東京市の13市.同記事にも紹介されている稲城市に関しては,東京都における区市町村別の合計特殊出生率の順位を拝見すると,1.40%と都内の市区町村では第8位に位置する*2.同市への流入も同市内での新生児も増加ともいえ,人口減少・少子化局面にある自治体が大半を占めるなかで,比較的希有な自治体とも言えそうか.興味深い.
人口減少を所与としたなかでの行政運営手法としては,例えば,「ダウンサイジング」を含めた「持続可能な行政運営のしっかりと立てること」*3も要請されるところ.ただし,全国的な自治体と同様に,大幅な「パイの拡大を前提として,その増分を解決分のための原資に充て」(64頁)るような行政運営を選択できないような環境下にありつつも,人口増加局面を迎える上記自治体では,他の全国的な自治体のトレンドとは異なる行政運営上の課題もあるとも考えられる.何か具体的に良い手法があるのだろうか.
幸か不幸か勤務地・居住地ともに同地区に該当.来年は,少しこの点も考えてみたい.

*1:国立社会保障・人口問題研究所HP「『日本の市区町村別将来推計人口』(平成20年12月推計)について」(平成20(2008)年12月24日公表)

*2:東京都(これまでの報道発表2008年12月平成19年 東京都人口動態統計年報(確定数)(平成20年12月22日,福祉保健局))「区市町村別合計特殊出生率の順位

*3:森田朗「人口減少時代の行政運営」財団法人日本都市センター編『人口減少時代における都市経営に関する調査研究報告書』(財団法人日本都市センター,2008年),69頁

人口減少時代における都市経営に関する調査研究報告書

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