姫路市は二〇〇九年度から、行政職、消防職などの課長補佐、係長級職員約四百五十人の管理職手当を廃止する方針を固めた。管理職の性格が薄れたため、四十七年間支給してきた同手当を廃止。一方で、一部を支給していなかった時間外勤務手当を完全支給する。全体では、数千万円以上の人件費節減を見込む。二十日開会の市会定例会に関連議案を提出する。(直江純)
 管理職手当は一九六二年度の創設時から係長級以上に支給。現在は課長補佐級=月四万三千円、係長級=同三万五千円。保育所長など出先機関の長約八十人を除く約四百五十人の手当を廃止し約二億円の歳出を減らす。一方で、管理職手当の額を上回る額のみを支給してきた時間外勤務手当は〇九年度から完全支給する。同手当の増額分を差し引いても数千万円以上の人件費減を見込む。管理職の性格が薄れたことが見直しの原因。部下の管理に専念できた昔と違い、人員削減などで部下がいなかったり、個人の担当業務があったりする係長級以上の職員が増えているという。国家公務員が、本省課長補佐級以下の管理職手当の廃止を決め、民間企業の「名ばかり管理職」が批判されたことも考慮した。

同記事では,姫路市において,行政職・消防職等における課長補佐・係長に対して支給を行ってきた管理職手当を廃止する方針であることを紹介.
同市の管理職手当の状況については,同市HPを参照*1.2008年4月現在では,890名の管理職に対して42,990千円(企業局(水道事業部)は,32名の管理職に対して1,416千円)を支給していたとあり,同記事にある「数千年万円以上」の「人件費節減」「見込」額は判然としない.同記事にもある,「約二億円」の削減となると,その他手当の見直し分が大半を占めるようにも思われるが,どうなのだろうか.
2009年2月13日付の朝日新聞の報道では,神戸地裁において,宝塚市の「勤勉手当や定期昇給分について「職務実績の評価が考慮されておらず,法律的な根拠のない不当な利得にあたる」と違法性を認定」との判決が示されたとの報道もあり*2,「適度な較差による動機付け」による「管理技術」の一つ*3とされた手当に対しても,「根拠が明確な政策と実践」(evidence-based poliy and practice)*4が要請されることにもなりそう.同記事の職についても,管理職手当という職務給支給分が,同記事にあるよう時間外勤務手当とともに,基本給ベースに「勤勉手当」他の支給が「査定による格差付け」(礒崎・金井・伊藤2007:209頁)分も増加することになるのだろうか.同記事にある人件費減の見通しの実際の効果は,要確認.
なお,蛇足.同市の機構を拝見すると,局制を採用されており,総務・企画系の業務を「市長公室」をご担当されている模様*5.下名個人的な「市政中枢」への観察関心からも,興味深い.

*1:姫路市HP(人事課姫路市人事行政の運営等の状況について)「平成20年度公表」8頁

*2:朝日新聞(2009年2月13日付)「「勤務評定なき勤勉手当支給は違法」も返還請求は棄却

*3:礒崎初仁・金井利之・伊藤正次『ホーンブック地方自治』(北樹出版,2007年)209頁

ホーンブック 地方自治

ホーンブック 地方自治

*4:Sandra M. Nutley,Using Evidence: How Research Can Inform Public Services,The policy press,2007:13.

Using Evidence: How Research Can Inform Public Services

Using Evidence: How Research Can Inform Public Services

*5:姫路市HP「組織から探す(市役所各課のご案内)