姫路市の歴史や文化、産業の知識を問う「姫路観光文化検定」の受検者数が低迷している。2006年の第1回は約1千人が受検したが、昨年は4分の1以下の212人に減少。主催する姫路商工会議所は「中学・高校のほか、姫路に転勤してくる人が多い大手企業にも、参加を呼び掛けたい」とPRに躍起だ。(長谷部崇)
 同検定などの「ご当地検定」は、04年の京都検定に受検者が殺到したのを機に、全国に広まった。しかし、京都など一部を除き、年々、各地で受検者数は減少している。姫路でも06年の第1回は945人が受検したが、第2回は511人に半減。3回目以降は、200人前後で推移しており、姫路商議所は「ご当地検定ブームが過ぎ去り、物珍しさで受ける人が減った」と分析する。また「問題が難し過ぎる」との声もある。最難関の1級は「姫路城南面で、かつて城主がいたと考えられる場所は?」など、全問記述形式で、昨年受検した65人の平均点は29点。最高点でも64点と、合格の80点に遠く及ばなかった。同商議所も「このままでは検定が敬遠されてしまう」と反省。次回以降、難易度を下げる方向で検討している。一方、前回の試験で目立ったのが、10代の受検者。3級では4割を占めた。姫路市立豊富中学校や兵庫県播磨高校など、検定の公式テキストを歴史の授業に使う学校もあり、関心を持った生徒が相次いで受検したようだ。「中学、高校にもっと検定テキストをPRしたい」と同商議所。高齢者の集まる公民館などにもポスターを配り、受検を呼び掛けるという。

同記事では,姫路市に関する,いわゆる「ご当地検定」の受験状況を紹介.2006年の開始以降,減少傾向にあるとのこと.同試験については,姫路商工会議所HPを参照*1
同試験は,1級〜3級に分かれており,何れも90分間の試験を行い,1級については,「高度な知識レベル 100 問以内」で「公式テキストより50%以上出題」され「記述式」で100点満点中80点で合格.2級は,「やや高度な知識レベル」で同じく「100 問以内」とされ,「公式テキストより70%以上出題」の「択一式」とされ,3級は「基本的な知識レベル」を「100問以内」として,「公式テキストより70%以上出題」の「択一式」とされており,2・3級ともに100点満点中70点以上で合格とある.ただ,同試験,「下位の級に合格していなくても上位の級を受験できます」*2と上位の級への直接的な受験機会が付与されているように,昇級審査方式は採用されていない.同記事で紹介されているように,年間受験者が減少しつつあるのは,直接1級を受験し,合格してしまうと,敢えて2又は3級を受験する動機付けが低い仕組み(つまり,同試験に複数回受験する動機付けが低い仕組み)のようにも思われるが,実際の受験動向はどのような状況にあるのだろうか.興味深い.
2008年2月19日付の本備忘録でも取り上げた「検定試験」.同種の試験については,文部科学省中央教育委審議会答申において,「各個人の学習成果を評価する検定試験について,全国レベルでの一定の基準を満たすものを対象とし、個々の検定の評価手法の有効性,安定性.継続性及び情報の真正性等を確保する仕組みを検討することが考えられる」として「行政改革の経緯等から行政の直接的な関与が困難であれば,民間事業者等による第三者評価機関が検定試験について客観性や質を確保するという仕組みが考えられる」との観点から,「国がその客観性や公平性を担保するため,評価を行う際の参考となるガイドラインを作成するなど,民間事業者等の主体的な取組を支援する必要がある」*3と,その品質保持と評価機関の整備が答申されてきた.同省では,同答申内の後段部分を受けて,「検定試験の評価の在り方に関する有識者会議」を同省生涯学習政策局に設置し,2008年10月15日には,同会議の審議整理として「検定試験の評価ガイドライン(試案)」について」を取りまとめている.
同整理では,「検定試験」は,「全国に1000種類程度(詳細にみると5000種類以上)の検定試験があり,年間に200種類程度増える一方,同時に50種類程度消滅して」おり,「検定試験を実施する参入障壁は比較的低いが,早期撤退する事業者も少なくない」*4との現況が整理されている.同整理では,「学習成果を適切に生かすことのできる生涯学習社会の実現に向けて,検定試験の果たしている役割は非常に大きなものがある」(8頁)との認識から,「質の確保」(9頁)のための評価導入を提案し,これにより「検定試験の質が向上することにより,当該試験に対する学習者や企業・学校等からの信頼度や認知度が高まり,学習者や受検者の増加が図られ,当該検定試験(事業)が社会的に有意義なものとして,より発展していくもの」(15頁)と,その受験者の増員効果も期待できるとの見通しをも示している.試験という制度は,結局は「生徒を学習へと動機づけ,競争心をかきたてる手段」*5であるするならば,衰退する「検定試験」間での「競争心」を取り入れることもまた,その持続の方策の一ついうことだろうか.なるほど.