鳩山政権の地方分権改革に関する基本方針が26日、明らかになった。
 地方分権の新たな推進体制として、鳩山首相が議長を務め、地方の首長らが加わる「国と地方の協議の場」を新設する。現在の地方分権改革推進委員会(委員長・丹羽宇一郎伊藤忠商事会長)は来年3月の設置期限を待たず、年内にも廃止する方針だ。これまで分権委が行ってきた勧告のうち、都道府県から市町村への権限移譲と、地方自治体の仕事を国が法令で細かく縛る「義務付け・枠付け」の廃止、縮小は、来年の通常国会に提出する「新地方分権一括法案」に盛り込み実現を図る。
 一方、国の出先機関改革は、「協議の場」で再検討する。協議の場ではほかに、国庫補助負担金の一括交付金化の設計なども行う。詳細な検討をする作業部会も置く。政府は、分権委の勧告に分権政策の方針作成を委ねる「委員会方式」では、政治主導の分権改革ができないとして、推進体制を見直す必要があると判断。秋の臨時国会で分権委の設置根拠となっている地方分権改革推進法を改正する方針だ。

同記事では,現政権のもとでの地方分権改革に関する基本方針が紹介.同基本方針の出典根拠が明確ではないものの(「政務三役会議」に向けた議論の内容なのだろうか),地方分権改革推進法第9条から第18条*1を改正し,同委員会設置の「廃止」を想定されている模様.
2009年8月9日付の本備忘録にて紹介した,2009年8月7日に開催された「地方分権改革に関する公開討論会」のなかでも,「地方分権改革推進委員会以上のものをやるのだと発言」*2が示されたことから,同法を含めて同委員会の取り扱いに関しては,様々な想定がされてはいたものの,同委員会については廃止され,これまでの勧告等の審議内容については継続される模様.あわせて,同記事では,「来年の通常国会」へ「新地方分権一括法案」を提出するとも紹介.
仮に,同法改正に伴い,「地方分権改革推進計画」の策定に関する同法第8条が改正されない場合には,同法同条第2項に基づき「内閣総理大臣は,地方分権改革推進計画の案を作成」することが,今後も求められることになる.同計画の案の作成に向けて,今後,直接的に,内閣総理大臣のもとで,同計画案の作成に向けた審議が行われることとなるかか,又は,「審議会主導型改革の蹉跌」*3があるとしても,内閣総理大臣として同計画案を取りまとめる以前に,何らかの場を設けて,同計画の案に向けての文書の審議を経由することになるのかは,判然とはしない.ただ,いずれの場合においても,「政治主導で決断されないかぎり実現できないもの」*4との判断からか,同記事からは「鳩山首相が議長を務め,地方の首長らが加わる「国と地方の協議の場」を新設」される」ともあり(同協議の場,2009年8月9日付の本備忘録でも言及した「(仮)地方行財政会議」での参加者イメージとは異なり,議長は総理が想定されているのですね),いずれの場合であっても,同協議の場での審議が行われるにも読める,
同協議の場が,どのように「コア・エクゼクティブの凝縮性」(伊藤2008:32頁)を高めた審議体制となるのかは,要経過観察.

*1:地方分権改革推進委員会HP(委員会関係法令等)「地方分権改革推進法

*2:地方分権改革推進委員会HP(委員会開催状況第92回:2009年8月7日開催)「第92回 地方分権改革推進委員会 議事録」24頁(露木委員発言)

*3:伊藤正次「国による「上から」の分権改革」森田朗・田口一博・金井利之編著『分権改革の動態』(東京大学出版会,2008年)32頁

分権改革の動態 (政治空間の変容と政策革新)

分権改革の動態 (政治空間の変容と政策革新)

*4:西尾勝地方分権改革』(東京大学出版会,2007年)209頁

地方分権改革 (行政学叢書)

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