次回国勢調査を1年後に控え、総務省は1日、回収率を高めて精度を向上させるため、原口一博総務相を本部長とする「国勢調査実施本部」を設置、初会合を開いた。
 会合では原口氏が「国民目線に立った回答しやすい調査とし、地方自治体と密接に連携しながら、全力で取り組みたい」と抱負を述べた。実施本部は月内に実施計画を策定。来年3月までに調査票の回収方法などの変更を盛り込んだ国勢調査令を改正するほか、広報を強化して国民の理解と協力を求めていく。
 国勢調査は5年に1回、10月1日現在で実施し、来年が19回目。調査員が各世帯を訪問し、記入内容を確認して回収してきたが、近年はオートロックマンションの増加やプライバシー意識の高まりで、回収率が低下している。
 このため次回からは郵送による回答を認め、一部地域でインターネットを使った回答をモデル実施するなど、回収率アップに取り組む。

同記事では,総務省において,2010年の国勢調査実施に向け,「国勢調査実施本部」を設置したことを紹介.同本部の概要については,同省HPを参照*1
今回の国調の「調査方法等の主な改善事項」として,2009年1月8日付の本備忘録で記した,下名の個人的な関心(統計調査の実施機構)からすれば,「調査方法」における,「封入提出方式の全面導入」,「郵送提出方式及びモデル地域におけるインターネット回答方式の導入」,「調査票の提出方法は世帯が選択」(4頁)方式の実施状況は,今後要観察.
「封入提出方式の全面導入」は,「平成17年国勢調査」においても「世帯が希望すれば,記入した調査票を封筒に入れて提出すること」*2が可能であり,一部導入済みの方式.このような封入提出を被調査者が選択できることで,調査員に対して「調査票の記入方式について質問」又は「調査票の記入内容の確認を希望する場合」は,「世帯は,調査票の提出時に調査員に質問し,確認を求めることも」(7〜8頁)可能な調査環境にあった.一方で,「調査票の記入内容を調査員に見られたくないと考える世帯が増加し」,それにより「調査票の回収に困難を伴う事例」(8頁)もあったことから,今回の国勢調査から,「原則として,すべての世帯が調査票を封筒に入れて提出する方式を導入」「調査員は,調査票の記入内容の確認を行わずに,封をしたまま市町村に提出すること」(同頁)されることとなる.また,2009年1月11日付の本備忘録でも紹介した「インターネット回答方式」は「モデル地域」にて実施される.これらにより,被調査主体による記入・提出方式へとその外延が拡張しつつあるともいえる.
また,1920年の第1回国勢調査では,「調査員となることは,地位の住民たちから名誉と受け止められ」「調査終了後,一種の紳士録である『国勢調査記念録』が発刊され」「調査員に選任された者の多くが寄付金を払って,この本に自己の写真や経歴を掲載した」*3とされたものの,今日では,「各市町村ともに調査員や指導員の確保に苦労しているのが実情」(上掲・総務省統計局2009:23)であり,「調査員の確保対策」としても,「事務負担」の「軽減」「適正配置」(23〜24頁)等で対応.一方で,媒介者としての国勢調査員制度を経由しない回答・回収方式へと改められつつある一方,同制度については,「負担」「軽減」はされつつも維持はされる現状.悩ましい.