福岡県議会事務局の職員が県議視察の同行時に受け取っている高額な手当について、同事務局は減額する方針を固めた。現在は1泊2日の場合、議員と同額の3万8400円を支給されており、県民から「高すぎる」と批判を受けていた。来年4月から他の県職員と同額に引き下げる。
 県議会事務局は「県民からの批判もあり、引き下げが必要と判断した」と説明。他の県職員に合わせ、県内なら1泊2日1万3100円、県外でも同1万5700円に減額するほか、日帰りでも一律3000円支給されていた旅行雑費を実費支給に改める。視察先で議員の夜の懇親会に同席するケースもあったが、別の場所で食事するなどして経費削減に努めるという。県議会事務局職員には現在、「視察に随行する時は県議と同等の旅費を支給できる」とする条例を適用しており、宿泊を伴う同行の場合、県内外を問わず1日あたり1万9200円、1泊2日で3万8400円の手当が支給されている。同じ視察に同行する県庁の他の職員との間でも格差が生じている。
 読売新聞の6月の取材に対し、県議会事務局は「議員といつも一緒にいる必要があり、(他部署とは)業務内容が違う」と正当性を主張していた。しかし、その後、事務局が調査したところ、全国の議会事務局職員の平均額(県内なら1泊2日1万2000円、県外なら同1万5800円)を大きく上回り、全国で最も高額と判明したという。

同記事では,福岡県における,同県職員の旅費規定の見直し方針を紹介.
同記事において紹介されている旅費に関する規定に関して,「福岡県職員等の旅費に関する条例」を確認してみると,同条例第31条にて「職員が県議会議員の旅行に随行する場合の旅費については,この条例の規定にかかわらず,福岡県議会議員の議員報酬及び費用弁償等に関する条例第一条に規定する議員と同等の旅費を支給することができる」*1と規定.同規定から考えてみると,必ずしも議会事務局職員に限定されることはなく,「議員の旅行」に「職員」が「随行」する場合の全てに適用されると解することが適当とも考えられそう(勿論,議会事務局以外の職員の皆さん以外が,「随行」する状況は,想定しがたいことは事実ですが).
「旅行途中におきる事態は予測をこえるものがある」*2なかで,「神経は他局職員の何倍も使う局である」*3とも記録されたこともある議会事務局の職員にとっては,同記事にも紹介されている「議員といつも一緒にいる必要」ともされる行程での,その「神経」の「使」い方は,下名のような,外部観察者では把握できない領域.ただ,同記事のように「他の県職員に合わせ,県内なら1泊2日1万3100円,県外でも同1万5700円に減額」するという,旅費の「官公均衡」*4ならぬ,いわば「公公均衡」(更には,同県内他の職員における旅費との「公内均衡」)とともに,「随行の必要性」*5も勘案されることもまた適当かとも思わなくもない.
なお,蛇足.同記事を今朝拝読し,もうそろそろ,2009年9月19日付の本備忘録でも記した本年度内の残された課題の一つである,議会事務局制度のまとめにも着手しなければならいことを想起し,やや焦り気味.

*1:福岡県HP(県政情報県の条例,公報福岡県例規全集)「福岡県職員等の旅費に関する条例」(昭和32年8月1日,福岡県条例第57号

*2:白幡洋三郎『旅行のススメ』(中央公論新社,1996年)142頁

*3:神谷紀一郎『都庁』 (教育社,1974年)157頁

都庁 (1974年) (教育社新書―行政機構シリーズ 19)

都庁 (1974年) (教育社新書―行政機構シリーズ 19)

*4:西村美香『日本の公務員給与政策』(東京大学出版会,1999年)3頁[rakuten:book:10748614:detail]

*5:碓井光明『政府経費法精義』(信山社,2008年)274頁

政府経費法精義

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