鳩山内閣行政刷新会議が進める「事業仕分け」にならい、大分市は来年度の予算編成に向けて庁内に「事業仕分けチーム」をつくり、ほかの部局の事業を点検する制度を始める。効果や優先度が低い事業を見直し、予算編成の参考にする。
 市財政課によると、各部局の参事や次長ら予算編成の責任者13人が担当する。財政課が選んだ対象事業項目をほかの部局の責任者が点検し、担当部局に話を聞いて事業が必要かどうか判断する。12月上旬から作業に入り、結果は同21日ごろに釘宮磐市長に提出。予算編成の資料になるという。04年から導入している行政評価制度で外部の意見を採り入れているため、チームに外部の専門家は入れない。また、作業自体、行政刷新会議事業仕分けのように公開はしない方針。24日の定例会見で釘宮市長は「来年度以降は仕分けの公開も考えていかなければならない」と話した。

同記事では,大分市における予算編成の取組について紹介.国レベルで,この秋賑やかに行われた「事業仕分け」は,本日,「最終日」*1を迎えるなか(下名個人的には,この間,「事業仕分け」の放映に側耳を立てつつも,租特の見直しを中心とした政府税調の審議*2を観察しておりましたが),自治体・国の予算編成はこれからが本番.
同取組の取組背景に関しては,2009年11月9日に開催された同市庁議の概要を参照*32009年10月23日付の本備忘録で記したように,「庁議制度」の観察者の一人(これまた,お二人目にはお会いできませんが)としてのならず,やはり,同制度における審議内容の公開は大いに参考になりますね).
同市では,「以前」より,「部局長裁量枠の予算編成作業」を進めており,同作業に際しては,「従来型の発想を転換して、全くゼロベースから積み上げる意識を持って取り組んで欲しいということをお願い」されてきたものの,「最近,職員からは,毎年枠内の予算がこんなにカットされると,事業をやる意欲が減退しかねないという声が聞こえてきて」きた,という.一方で,同意識に関しては市長としては,「今までのように,全事業を一律に何%カットするというような手法をとるのではなくて,事業によっては,思い切って先延ばしするとか,廃止するとかの判断をしてもらいたい」との考えもあったとのことであり,更には,「現状では,一つひとつの事業の評価をそれぞれの部署で積み上げて,予算の再編成を行うということが,十分に行われていないよう」との現状認識もあるとされる.加えて,「来年度も税収は大きく落ち込むことが予測」,「23年度には,一括交付金制度の導入も予想」されている.そこで,同市の「22年度予算編成」については,これまでの「ゼロベースからの再編成を各部局にお願いしてきました」ものの「自分の部局の事業となるとなかなか思い切ってやめられないというような意見もあ」ったこと受け,同記事にも紹介された「事業仕分けチームを編成」し,「この仕分けチームによって,事業をスクラップ,あるいは残していくというような作業を今回取り入れたい」とのこと.勿論,同取組においては,「まずは仕分けをする項目にあげる事業をどういう形で選ぶのかという課題」や「将来的には,このチームに市民や有識者を入れることも考えられる」ものの,今回は,「できれば各部局から自主的にそれを出してもらうということが,極めて大事」との認識から,「当面,来年度予算については,とにかく内部でこの事業仕分けをやってみたい」との判断が示されたという.
同「事業仕分けチーム」の詳細については,同記事に紹介された「各部局の参事や次長ら予算編成の責任者13人が担当」という内容以外は,現在のところ把握できず,残念.下名,上記の「庁議制度」への観察とともに,いわゆる「部企画」*4のみならず,いわば「部総務」「部財務」の庁内調整(調製)の機能を観察しているため,同市におけるこの「13名」の役割については,要確認.
同市における「部局長裁量枠」自体を廃止するもののではない模様.ただ,「枠配分制度」導入後,各部局へ配分された「額の予算を与えられても,何もできないという論点」*5や「枠配分制度導入した自治体の多くで「財政調整課」ひいては財政部局の定員が削減されたケースはほとんどみられない」「「むしろ仕事が増えたケース」がほとんど」*6との指摘もあることからすれば,これもまた,2008年4月2日同年10月25日2009年10月17日同年10月18日付の各本備忘録で取り上げた,自治体内における「財政部(局)統制」復権の様相の一つとも整理ができるのだろうか.要観察.

*1:時事通信社(2009年11月27日付)「財務省所管法人を査定へ=事業仕分け最終日−行政刷新会議

*2:内閣府HP(その他の施策税制調査会会議一覧)「全体会合

*3:大分市HP(こんにちは市長室です庁議内容)「11月9日庁議内容

*4:打越綾子『自治体における企画と調整 事業部局と政策分野別基本計画』(日本評論社,2004年)64〜65頁

自治体における企画と調整―事業部局と政策分野別基本計画

自治体における企画と調整―事業部局と政策分野別基本計画

*5:吉田博・小島卓弥『自治体の予算要求 考え方・つくり方』(学陽書房,2009年)48頁

自治体の予算要求 考え方・つくり方

自治体の予算要求 考え方・つくり方

*6:前掲注5・吉田博・小島卓弥2009:48頁