久保慶明先生より,ご恵与賜りました.ありがとうございました.
本稿では,「水源税導入と財政再建への積極的姿勢」(56頁)の下にある,二人の異なる知事が,水源税における「課税方式」(47頁)として,「水道料金に上乗せして課税する法定外税方式」と「県民税の超過課税方式」(同頁)のそれぞれを選考したものの,後者が選択された政治過程について,「政党間対立と「地域間対立」」(58頁)の双方の観点から,議会・行政関連資料,聴き取り調査等のを踏まえて,精密かつ明瞭に分析されております.
特に,本稿では,課税方式を巡る「理念」(48頁)と「現実」(同頁)という制度選好の対比,議会に占める知事支持会派の議席割合による「統一政府」(50頁)と「中間政府」(同頁)という議会構成の対比,更には,各会派内における「「水源地域」対「都市部」」(57頁)という地域空間の対比という,3つの対比構造が輻輳的に存在し,それらが,制度選択に結びつくことが明らかにされており,豊穣な研究可能性を持つ,自治体政策を巡る政治過程の理解をはかるうえで,より多面的な分析の可能性を提示することに,成功されているかと存じ,大変刺激を頂きました.
心より御礼を申し上げます.誠にありがとうございました.