横浜市は1日、横浜国際総合競技場横浜市港北区小机町)のネーミングライツ命名権)について、日産自動車横浜市西区)と契約を結んだと発表した。契約期間は今月から3年間で、愛称は引き続き日産スタジアム
 命名権の金額は年間1億5千万円。同社は2005年、同競技場の命名権を5年契約で購入。経済情勢の悪化などを踏まえ、昨秋の公募で市は2度にわたって契約料を引き下げ、同社が昨年11月に応募。関係者、市民意見聴取や市のネーミングライツ審査会での検討、市の「ネーミングライツ導入に関するガイドライン」に基づく手続きを経て、契約内容を合意した。

本記事では,横浜市における命名権の取組に関して紹介.2009年8月29日付及び同年10月13日付で紹介した同市の横浜国際総合競技場小机競技場・スポーツコミュニティプラザへの命名権の交渉の結論.両備忘録後のの経緯及び概要については,同市HPを参照*1
両備忘録でも記録したように,前契約時は,年間4億7000万円とされたものの,その後,年間3億円,そして,本記事もあるように,最終的な契約では「1億5千万円」と約7割引きとなり,「1社」からの公募.その後は,本記事にて紹介されている「ネーミングライツ導入に関するガイドライン*2に「基づく手続き」としては,「平成21年12月15日(火)から平成22年1月15日(金)まで」の間で「市民意見」を「募集」.その結果は,「Eメール」で「3通」*3が提出され,「応募内容」としてその価格,「ネーミングライツに対する要望」が示された模様.
これらを踏まえて,結果的には,「関係的契約」*4の結果を反映してか,前命名権取得起業との取引関係が継続されることになる.命名権の供給側の過多な様相も観察されるなかで,一度,確定した契約においては,新規企業には「参入コスト」*5もまた高くなることもあり,固定化・長期化に至る傾向性が観察されるのだろうか.考えてみたい課題.

*1:横浜市HP(共創推進事業本部ネーミングライツ/環境創造局公園)「横浜国際総合競技場のネーミングライツの公募について

*2:横浜市HP(共創推進事業本部ネーミングライツ/環境創造局公園)「横浜市ネーミングライツ導入に関するガイドライン」(平成20年10月1日制定,平成21年8月10日改定)

*3:横浜市HP(共創推進事業本部ネーミングライツ/環境創造局公園)「「横浜国際総合競技場等のネーミングライツについて」市民意見募集結果

*4:伊藤秀史「市場と組織 原理の相互浸透と企業の境界」伊藤秀史・沼上幹・田中一弘・軽部大『現代の経営理論』(有斐閣,2008年)95頁

現代の経営理論

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*5:南京兌『民営化の取引費用政治学』(慈学社,2009年)148頁

民営化の取引費用政治学―日本・英国・ドイツ・韓国4ケ国における鉄道民営化の

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