熊本市議会は2日、同議会内に予算決算常任委員会を設置する条例改正案などを全会一致で可決、103議案が同日、同委員会に付託された。同市議会事務局によると、九州で予算と決算を一体的に審議する常任委員会設置は初めて。
 同委設置を決めた市議会議会活性化検討会(会長=江藤正行・自民)によると、委員は49人の市議全員で構成。毎年、決算特別委員会が設置されていたが、同委で予算と決算を審議する。同委の下に議会運営委員会に当たる理事会(8人)と、総務、保健福祉など現在の常任委員会に対応する六つの分科会(8−9人)が設置される。
 地方自治法が2006年3月に改正され、各自治体議員が複数の常任委員会に所属できるようになったことを受け、検討会が議論を進めていた。予算関係議案はこれまで、6常任委員会に分割されて審議されていた。

本記事では,熊本市議会における常任委員会の改組について紹介.予算決算常任委員会を置くことで,2010年3月2日付の熊本日日新聞において報道されているように「6常任委に付託していた予算,決算審議を一本化」*1することが目的とされている模様.
「予算と決算を取り扱う委員会を常時設置されている,ひとつの委員会として設置すること」により「決算審査の過程で指摘された改善点が,予算編成に活かされるように働きかけを行ったり,予算審査のなかでチェックしていったりという活動が,組織的に取り組」*2むように,予算決算常任委員会を設置する三重県議会では,「議長を除く全ての議員」によって構成される「全員参加型」であり,同委員会の下に「6つの分科会」と「委員長,副委員長及び理事数名」から構成される「理事会」*3から構成される,複層制の合議制の会議体.本記事で紹介されている熊本市もまた,同様の形態を採用される模様.同県議会の同委員会では,「付託を受けた議案の審査方法は,まず委員会での総括質疑を行い,次に分科会での部局別審査を行い,最後に委員会で分科会委員長報告,締めくくり総括質疑,討論,採決を行うことを基本」とした「フルパターンの審査方法」*4を基調としつつ,「一般会計・特別会計」,「補正予算企業会計の決算審査」,「先議議案」毎に「付託議案審査方法パターン」は6種類に分かれ,審議されていることになるという.興味深い.
「議会制度を大幅に変革して開放性重視に向かう」取組とも,「議会内慣行を変革して効率性重視」*5の取組のいずれとも整理ができそう.興味深い.下名,自治体「行政」への観察を生業と自己同定していることもあり,自治体内の「政治」に関連する領域(下名の場合,政治と行政の「境界線」の認識は,それぞれの「「群れ」に対するそれ」*6ですが)を単体で観察には及ぶことはないものの,何故だか,ここ数か月は,会議体の観察への観察の関連からも,議会関連資料も拝読する機会もあり,議会という会議体の動向も,少し確認(へっぴり腰で観察する程度で,心許ない限りですが).

*1:熊本日日新聞(2010年3月2日付)「予算決算委を設置 熊本市議会3月定例会が開会

*2:廣瀬克哉『「議員力」のススメ』(ぎょうせい,2010年)24頁

「議員力」のススメ

「議員力」のススメ

*3:三重県HP(三重県議会県議会のしくみさまざまな取り組み)「三重県議会の改革 予算決算常任委員会の改革」(平成18年(2006年)3月,平成21年(2009年)4月改訂,三重県議会)7頁

*4:前掲注4・三重県三重県議会の改革)9頁

*5:建林正彦・曽我謙悟・待鳥聡史『比較政治制度論』(有斐閣,2008年)195頁

比較政治制度論 (有斐閣アルマ)

比較政治制度論 (有斐閣アルマ)

*6:杉田敦『境界線の政治学』(岩波書店,2005年)15頁

境界線の政治学

境界線の政治学