◇若者入らず「高齢化」 04年度に制限撤廃
自治体職員採用試験で全国で初めて、04年度に学歴・年齢不問とした千葉県市川市が来春採用分から、大学新卒世代枠を復活させると12日発表した。定年直前の59歳まで受験可能としたところ若者がほとんど入らず、年齢構成のバランスが悪くなったためだという。
 市によると、制限を撤廃した04〜10年度の7年間に採用した297人のうち、30代以上(採用時)が約28%を占め「即戦力」を確保できた一方、年代別で50代が最多となった。
 高校3年生の受験者もいたが、30〜40代の「経験値」にはかなわず10代の入庁者は途絶えていた。職員の平均年齢が上がり、逆三角形のいびつな年齢構成になった。このため市は、今年6月に実施する来春入庁者の採用試験では、制限撤廃枠を14人程度に半減させ、22〜26歳の学生ら新卒枠を15人程度とする。これらとは別枠で、高卒・短大卒対象の「初級職」採用試験も今年9月には復活する予定。
04年度は競争率が前年の約40倍から105倍に跳ね上がり話題を集めた。市の担当者は「今後は、二つの採用枠の良いところを生かせるように併用したい」と話している。【山縣章子】

本記事では,市川市における新規職員採用方式について紹介.詳細については,同市HPを参照*1
対象は,「一般行政職」.「受験区分」において,2004年度から採用されてきた「年齢・学歴制限撤廃」区分に加えて,「大学卒業」区分を「復活」.前者の「年齢・学歴制限撤廃」区分においては,「昭和26年4月2日以降に生まれた人(平成23年4月1日現在で59才までの人)」であり,「義務教育課程以上を修了した人 ,または平成23年3月までに修了見込みの人」がその対象となる.後者の「大学卒業」区分では,「昭和59年4月2日から平成元年4月1日までに生まれた人(平成23年4月1日現在で22才から26才までの人)」とあり,「学校教育法に基づく大学(短期大学を除く.以下「大学」という.)を卒業した者」「または平成23年3月までに修了見込みの人」とされている.後者の区分では,「新卒者が短期間で離職し,再就職活動をする」「短期離職者」*2第二新卒)も含まれる模様.また,「受験申込は,上記区分のいずれか1区分に限」るとして,「申込受理後の受験区分の変更は認めません」ともあり,いずかに限定されている.
同取組により,同市では,2008年7月27日付同年12月28日付2009年2月13日付同年3月20日付同年8月17日付の本備忘録で取り上げた採用時の年齢制限の「事実上」の撤廃の取組は持続されつつも,区分としては年齢制限による採用方式も並行的に配置することになる模様.本記事でも紹介されているように,「年齢・学歴制限撤廃」に伴う採用状況からは,「年齢構成のバランスが悪く」なってきたことからすれば,「大学卒業」区分では,上記要件内の年齢の職員採用を行い,「年齢・学歴制限撤廃」区分に関しては,事実上「「昭和26年4月2日」から「昭和59年4月1日」迄に「生まれた人」が,その主たる対象となることとなるのだろうか.採用状況は,要確認.
2009年11月24日付及び2010年3月22日付の各本備忘録と同様に,同取組からも,やはり「成績主義」という「ドクトリン」*3における「年齢」がもつ意義を考えさせられる.少し考えてみたい課題.

*1:市川市HP(市政情報市政の運営人事・職員)「平成22年度職員採用試験案内(一般行政職)

*2:江口匡太『キャリア・リスクの経済学』(生産性出版,2010年)202〜203頁

キャリア・リスクの経済学

キャリア・リスクの経済学

*3:牧原出『行政改革と調整のシステム』(東京大学出版会,2009年)20頁

行政改革と調整のシステム (行政学叢書)

行政改革と調整のシステム (行政学叢書)