「富士山の日」(2月23日)の休業日化をめぐり県内の市町の教育委員会や学校で見解が分かれている問題で、川勝平太知事は12日の定例記者会見で「各市町で考えがあると思う。わたしから『こうしてください』と言うつもりはない」と述べ、全県的な学校休校化に必ずしもこだわらない考えを示した。
 ただ、知事は「県教委の判断があって(県立学校は)休日にした。2月23日は富士山を思い、寿(ことほ)ぐべき時であると思う。子供の教育のために何ができるか(各市町が)考えてくださると信じてます」とも述べ、富士山の日へのこだわりを示した。県教委教育総務課は富士山の日を休業日とする学則改正を行うか各市町の意向を調査している。12日が回答期限だったが、同課は「きょうの段階ではコメントできない」と述べ、理由について「(休業日化に積極姿勢か慎重姿勢か)判断しにくい部分もある。しっかり確認したい」と説明した。
 富士山の日の休業日化に対する市町の対応は事実上の賛成、反対、検討中などに分かれている。教育関係者によると、「低学年児童を持つ保護者は休みが取れない」「休業日化の周知の時間がほしい」などの意見もある。

本記事では,静岡県において制定された「静岡県富士山の日条例」の実施状況を紹介.
いわゆる,「の日条例」(と,下名の身勝手な呼称ではありますが)の一つとして,2009年11月7日付の本備忘録でも取り上げた同条例.その後,2009年12月25日に公布.同条例の詳細に関しては,同県HPを参照*1
同県では,2010年3月18日付の中日新聞の報道を拝読すると「県教育委員会定例会」において,「委員の一部から反対」が示されたこともあり,「採決に持ち込まれ」,その結果「4対2で賛成意見が上回」ったことで「県立学校の休日」*2化を決定.同県内に位置する市町の教育委員会に対しては,「市町教委にも小中学校の休日化への協力を求めていく」方針であることも,同記事では紹介.その結果が,本記事.「縦系列」*3の「系統性」*4との認識も示されることもある教育委員会制度.休日(校)管理に関しては,「系統」的な一致を図ることなく,そのなかで,同県では,「こぞつて当該日」*5を休校とするには,個々の認識に基づき,設定される模様.なるほど.
2009年3月30日付の時事通信の配信記事では,観光庁による「全国8都府県9地域が対象」とされた「休暇分散化」の「社会実験」の試みが報道*6されており,いわば,全国的な,祝日・休日の分権化(時間管理の分権化)の状況が窺えそう.同試みの詳細は,同庁HPを参照*7.同県では,上記のように,結果的には,いわば,県内休日(休校日)という時間管理において,県内分権,が進みつつある,とも整理ができそうでもあり,興味深い.

*1:静岡県HP(組織別情報県民部)「2月23日は、「富士山の日」

*2:中日新聞(2010年3月18日付)「富士山の日休日化 県教委が異例の採決 賛成4反対2で不安漏らす委員も

*3:小川正人『教育改革のゆくえ』(筑摩書房,2010年)166頁

教育改革のゆくえ ――国から地方へ (ちくま新書 828)

教育改革のゆくえ ――国から地方へ (ちくま新書 828)

*4:紱久恭子『日本型教育システムの誕生』(木鐸社,2008年)194頁

日本型教育システムの誕生

日本型教育システムの誕生

*5:松本英昭『新版 逐条地方自治法第5次改訂版』(学陽書房,2009年)71頁

新版 逐条地方自治法

新版 逐条地方自治法

*6:静岡県HP(2009年3月30日付)「休暇分散化の影響調査=8都府県9地域で実証事業−観光庁

*7:観光庁HP(報道・広報報道発表2010年)「「家族の時間づくり」プロジェクトがスタートします!