高齢者らの買い物を支援する2010年度の委託先の事業所を、横浜市が31日まで募集している。13日に市健康福祉総合センター(中区桜木町)で事業所向けの説明会を開く。
 「高齢者等買い物サポート事業」は、本年度の新規事業。求職者を職員として新たに雇用し、日常の買い物に困っている高齢者らを支援するもの。募集事業所数は10団体。
 国の緊急雇用対策を活用し、実施する。委託事業所は介護保険サービス事業所、障害福祉サービス事業所のほか、地域の福祉団体や商店街など地域密着で活動する団体も対象となる。また、09年度から実施している「『働きながら資格をとる』介護雇用プログラム推進事業」と「介護人材定着促進事業」も継続事業として実施。それぞれ30事業所、60事業所を募集する。募集終了後、事業所選定委員会で受託事業所を選定、6月下旬にも発表する。問い合わせは健康福祉局高齢在宅支援課電話045(671)2405。

本記事では,横浜市における「高齢者等買い物サポート事業」の委託事業所の公募の取組を紹介.同事業の詳細については,同市HPを参照*1
「商店街の衰退や団地内のスーパーの撤退などにより,日常の買い物に支障きたしている方々が増えている」現状を踏まえて,特に,「横浜市内な坂が多く,またエレベータのない団地などもあり,高齢者,障害者等が住みなれた地域で住み続けられるような支援が必要」との認識から,「国の「ふるさと雇用再生特別交付金」を活用」し,「買い物サポート事業を実施」.対象団体は,「平成22年5月1日までに開設している団体で,高齢者等への福祉サービス事業を実施している」「団体及び商店街」として,「10団体」を募集し,「1団体あたり」「1人」の「雇用人数」*2が想定されている.「事業の概要」としては,「高齢者等から注文を受け,希望の品物を購入し,自宅に届けるサービス」,「高齢者等と一緒に買い物に行くサービス」,「団地等での青空市場のコーディネート」」*3等となる.
2009年8月25日付の本備忘録でも言及した,「買物というごく日常的な営みが困難」となる,いわゆる「買物難民」*4.2010年5月8日付の読売新聞では,経済産業省に設置された「地域生活インフラを支える流通のあり方研究会」において,「車の運転ができず家族の支援も得られずに,食品などの買い物に困る高齢者らを「買い物弱者」と位置づけ,内閣府の調査などから全国で「600万人程度」と推計」*5されたことを報道.「近く公表」とも報道されており,現在のところは未公表の模様.
2009年12月10日に開催された第2回研究会では,「買い物環境」に関して,「食品宅配サービス」「移動販売」「店舗への移動支援」「近隣型の店舗づくり」の観点から,「買い物支援サービスの類型毎の課題」を提示されており,例えば,「店舗への移動支援」では,「交通機関と店舗の連携による利便性・採算性向上できないか」等の論点とともに,「買い物ポイントによるバス利用や公共交通機関利用者への割引等」*6の検討案も示されている.これらの各課題に関しては,同研究会の報告書でどのような整理をされているのだろうか.
公開後,拝読させていただき,そこに「必要」となる「コスト」*7について考えみたい.

*1:横浜市HP(健康福祉局人材情報)「高齢者等買い物サポート事業受託事業所募集要領」(平成22年5月)

*2:前掲注1・横浜市(高齢者等買い物サポート事業受託事業所募集要領)1頁

*3:前掲注1・横浜市(高齢者等買い物サポート事業受託事業所募集要領)2頁

*4:杉田聡『買物難民』(大月書店,2008年)31頁

買物難民―もうひとつの高齢者問題

買物難民―もうひとつの高齢者問題

*5:読売新聞(2010年5月8日付)「「買い物難民」に宅配や送迎支援、研究会提言へ

*6:経済産業省HP(審議会・研究会商務情報政策局地域生活インフラを支える流通のあり方研究会(第2回)-配付資料)「資料4 地域における買い物環境の現状と課題について」4〜9頁

*7:森田朗自治体における課題解決と政策法務の役割」『ジュリスト』No.1382,2009.7.15,83頁

Jurist(ジュリスト)1382

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