原口一博総務相は11日の閣議後記者会見で、国と地方の協議の場を設置することを柱とする、地域主権関連3法案の今国会成立について、「厳しい状況に追い込まれている」との認識を示した。その上で、地方側が今国会成立を要請していることを踏まえ、「速やかな審議と成立をお願いしたい」と述べた。
 民主党は、16日までとなっている今国会の会期について、延長幅を最大1日とする方針を示している。同法案が今国会で成立しない場合、継続審議となる見通しだ。

本記事では,「地域主権改革の推進を図るための関係法律の整備に関する法律案」,「国と地方の協議の場に関する法律案」(地域主権改革関連2法案)及び地方自治法改正案の今国会での成立見通しを紹介.
2010年3月6日付の本備忘録では,その閣議決定に関して言及し,同年3月27日付の本備忘録では国会への提出,同年4月8日付の本備忘録では参議院への「先議」による審議入り,同年5月9日付の本備忘録では,同年4月28日に参議院において「可決」されたことを取り上げた同法案,地方6団体からは,「3法案の今国会における早期成立を強く求める」との「要請活動」*1が行われたものの,本記事では,総務相の認識では,同法案は「継続審議」となる見通しとの模様.
「重要法案」との位置付けがなされつつも,「スムーズな審議を進めるため」にも,参議院への「先議」が図られ,同法案に関しては,参議院の「影響力の発揮」*2は限られたものではあったようではあるものの,2010年6月11日の西日本新聞による報道によると「衆院での審議は手付かず」*3の状況にある,という.同年3月27日付の本備忘録で紹介した,2010年3月26日付の共同通信による配信記事における表現を用いれば,「閣議決定」後の「国会提出」迄の「たなざらし」という,「不作為」が継続審議という「先送り」*4に至ったと解することが適当そうか,悩ましい.
閣法の今回の成立自体が「60%前後」*5との2010年6月12日付の朝日新聞による整理があるものの,とはいえ閣法であり,「継続審議が繰り返されて審議されることなく,そのうち廃案になっていく」*6ことへの蓋然性は低いようにも考えられなくはないものの,今後の審議状況も,要経過観察.

*1:全国知事会HP(地方六団体の活動記者会見・要望・声明・コメント地域主権関連3法案の早期成立を求める要請活動及び地域主権戦略大綱への意見について(2010年6月10日))「地域主権関連3法案の今国会中の成立を強く求める」(地方六団体,平成22年6月10日)

*2:竹中治堅『参議院とは何か』(中央公論新社,2010年)327頁

参議院とは何か 1947~2010 (中公叢書)

参議院とは何か 1947~2010 (中公叢書)

*3:西日本新聞(2010年6月11日付)「地域主権改革進展に黄信号 関連3法案成立目途立たず

*4:杉田茂之「バブル崩壊局面における政策ラグとその発生構造」村松岐夫編著『平成バブル先送りの研究』(東洋経済新報社,2005年)79頁

*5:朝日新聞(2010年6月12日付)「今国会での政府提出法案、成立6割 自民政権時を下回る

*6:川人貞史『日本の国会制度と政党政治』(東京大学出版会,2005年)113頁

日本の国会制度と政党政治

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