• 金井利之「総合計画制度の展望−基本構想義務付け制度の廃止を受けて−」『都市問題』第101巻第6号,2010年6月号,78〜89頁.

金井利之先生より,ご恵与賜りました.ありがとうございました.
「総合計画制度」に内在する「技術的助言と事実上標準」(83頁)という影響力を抽出された本稿を通じて,今回の地方自治法改正案として,同法第2条第4項の規定「削除」(87頁)が提示されておりましたなかで,制度変化のなかでも持続する制度特性とはどのようなものであるか,を考えさせていただく機会となり,大変勉強をさせていただきました.
特に,「法的権限権限で強要できないものは,法制的改革では是正しがたい.つまり,改革不能なのである.こうして,より頑健な集権的・画一的運用として,総合計画制度は存置されてきた」(83頁)との分析は,各自治体における,制度運用を通じて生じる「慣性」の頑健さを改めて考えさせられました.
同規定に記された義務付けが「削除」された場合,同制度の運営による慣性(又は,制度運営の遺産)とは,如何に移り変わるのか(または,変わらないのか),2009年12月17日付及び2010年3月6日付の両本備忘録では,①「積極的」な基本構想・総合計画制度の策定「廃止」路線,②「慣性」による基本構想・総合計画制度の策定「継続」路線,③「積極的」な基本構想・総合計画制度の「改定」路線という,3つの路線選択*1等とも見立てては見ましたが,実際に,今後の自治体において同制度がどのように制度運用されていくこととなるか,本稿を常に参照させて頂きつつ,観察をさせて頂ければと存じております.
心より御礼を申し上げます.誠にありがとうございました.

*1:松井望「総合計画制度の自由度と多様性」『自治体法務Facilitator』Vol.24.2009年10月号,21-22頁