政府の地域主権戦略会議(議長・菅直人首相)は21日、改革の取り組み方針を示す「地域主権戦略大綱」をまとめた。国による補助金の個所付けを廃止して地方自治体が自由に使える「一括交付金」を11年度から段階的に導入することや、国の出先機関の縮減に向けた計画の年内策定などを明記。22日に閣議決定する。
 一括交付金は、現行の各省庁の補助金を大まかな分野ごとの交付金に再編・統合し配分。各自治体は分野内であれば使途を自由に決められる。11年度に交付金化する補助金の選定や配分方法は今年末の予算編成で決めるが、これまで補助金を介して自治体に影響力を行使してきた省庁の抵抗も予想される。
 政権が「原則廃止」とした国土交通省の地方整備局など出先機関については、各省庁が8月末までに所管する機関の個別業務を「地方に移す」「国に残す」などと選別する。戦略会議は選別結果を基に、地方移管する業務や廃止する機関などを定めた「アクション・プラン」を年内に策定するとしている。

本記事では,内閣府に設置された地域主権戦略会議において,「地域主権戦略大綱」を取りまとめたことを紹介.
2010年6月15日付の本備忘録にて「先送りする方針」との報道もされたことを紹介された同大綱.同会議第1回の配布資料「地域主権戦略の工程表(案)」では,「平22夏」の「策定」*1との日程の見立てもあってか,「夏至」である2010年6月21日に第6回会議が開催され,同大綱を了承された模様.なお,同大綱については,現在のところ,同会議HPには掲載されていない模様,残念*2.公開後,要確認.ただ,本記事でも紹介されているように,2010年6月22日に開催される閣議において「決定」される予定となると,2010年6月21日付の日本経済新聞による報道では「取り組みが後退するような」*3,2010年6月22日付の毎日新聞による報道では「府省側への配慮を残した」*4,同日の読売新聞による報道では,「一括交付金」」については「国の事前関与を大幅に残す内容」*5とも評されてはいるものの,今後は「順次実現」*6も予定されている同大綱の「盛り込まれた種々の改革案を精査し,閣議にまで持ちあげる改革案を適宜取捨選択」*7されることがないのだろうか.
朝日新聞による「首相動向」の報道を拝読すると,「5時,記者会見」「6時1分,国と地方の協議」「9分,同協議を途中退席」「32分,地域主権戦略会議」という,「夏至」の長い昼を過ごされたように,同大綱案の同会議における審議に先立ち,「国と地方の協議」*8が開催されている.全国知事会HPを拝読すると,「地方六団体会長が出席」され「地域主権戦略大綱(案)について協議」*9されたことが分かる.同手続が,「協議の場の法制化を待つことなく,国と地方の事実上の協議」に該当する手続であるか,下名は上手く整理ができてはいないものの,「地方自治体の代表者から現場の実態と感覚とを聴取のうえ,その意見を反映するように努め」*10ることを企図された同手続が,地方六団体から「意見を述べる」「回路」*11とされたか否かについても,現在のところ,同手続の審議内容が公開されておらず,残念.公開後,あわせて,要確認.

*1:内閣府HP(地域主権地域主権戦略会議会議開催状況地域主権戦略会議(第1回)(開催日平成21年12月14日(月)議事次第・配布資料)「資料4‐2地域主権戦略の工程表(案)【原口プラン】

*2:内閣府HP(地域主権地域主権戦略会議)「会議開催状況

*3:日本経済新聞(2010年6月22日付)「政府、地域主権大綱を策定 一括交付金など大幅後退 省庁抵抗根強く

*4:毎日新聞(2010年6月22日付)「地域主権大綱:一括交付金化盛り込む 官庁関与の余地も

*5:読売新聞(2010年6月22日付)「自由度前進も、交付金は国関与濃く…地域主権大綱

*6:前掲注1・内閣府地域主権戦略会議(第1回)(資料4‐2地域主権戦略の工程表(案)【原口プラン】)

*7:西尾勝地方分権改革』(東京大学出版会,2007年)210頁

地方分権改革 (行政学叢書)

地方分権改革 (行政学叢書)

*8:首相官邸HP(各種本部・会議等の活動情報)「国と地方の協議

*9:全国知事会HP(地方六団体の活動国等との意見交換)「国と地方の協議について(2010年6月21日)

*10:地方分権改革推進委員会HP(委員会の勧告・意見等)『第4次 勧告〜自治財政権の強化による「地方政府」の実現へ〜』(平成21年11月9日)5頁

*11:金井利之「「国と地方の協議の場」の成立と蹉跌」森田朗・田口一博・金井利之編著『分権改革の動態』(東京大学出版会,2008年)94頁

分権改革の動態 (政治空間の変容と政策革新)

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