• 伊藤正次「自治体の政策決定機構 合議体における政策決定の正当性確保」『地方自治職員研修』第43巻第9号,2010年9月,20〜22頁.

地方自治職員研修 2010年 09月号 [雑誌]

地方自治職員研修 2010年 09月号 [雑誌]

伊藤正次先生より,ご恵与賜りました.ありがとうございました.
本稿では,「人々の価値観は多様である以上,万人にとって「正当な」政策など存在しない」(20頁)と,鋭利な現実認識に基づきつつ,「しかし,政策決定が行われる「場」の構成に創意工夫を凝らすことにより,少なくとも政策の手段的な正当性,すなわち,政策決定の正当性を演出することは不可能でない」(同頁)との問題関心の下,自治体において配置されている,「幹部会議」(同頁),「審議会」(20〜21頁),「議会」(21頁)という,3つの「自治体の合議体」に関して,個別自治体における取組を参照されつつ,合議体単体の現状と特性を明らかにされ,更に,それら「合議体」の総体(連体)となることにより生じる,「齟齬」(21頁)(いわば,「合成の誤謬」でしょうか)を顕在化されるとともに,「政策過程全体のプルーデンスを高める」(22頁)うえでの,改善方針を論述されております.
下名,本稿を拝読させて頂き,会議体間での立体的な理解の方策や,特に,「政策決定の正当性の演出」(同頁)の術に関して大変刺激とともに勉強をさせていただきました.特に,下名個人的は,本稿内では「幹部会」(20頁)として整理された庁議制度をはじめとする,「自治体(行政)内の会議体」と事案決定手続きの配置への関心をもち,これらを観察させて頂いておりますが,本稿でご指摘された「配列と整合性確保」(22頁)は(公式・非公式の)会議体と(公式の)文書決裁手続と間での,まさに観察課題であることを,学ばせて頂きました.今後のこれら会議体への観察にて括目させて頂きます.
繰り返しではございますが,この度は,ご恵与を頂き,誠にありがとうございました.