大津市役所の市長室横に8月末、138万円をかけた新たな喫煙室が完成した。市長室が10月以降禁煙となるため。同市庁舎内は所定の喫煙場所以外は禁煙だが、市長室は来客があるため例外だった。市議会一般質問では、市議から「事実上、市長専用では」との批判の声も上がった。
 市管財課によると、喫煙室は、本館2階の市長室隣にある応接室兼書庫だった部屋を間仕切りし、換気扇を設置。ベランダに外部から見えないようついたてを取り付け、灰皿を置いた。同課は「利用を制限するつもりはないが、基本的には市長や来客の利用を想定している」。
 一方、自身が1日40本吸う愛煙家の目片信市長は「来客だけでなく、職員も自由に使えばいい」とする。ただ、部屋へは秘書広報課と副市長室の前を通らないとたどり着けず、一般の職員が業務以外で気軽に立ち入れる場所でもない。ある職員は「市長らの視線があっては、緊張して気が休まらない」と話しており、“憩いの場”になるかは未知数だ。
 市は、より厳格に受動喫煙を防ぐよう求めた厚生労働省の通知を受け、10月1日から既存の6か所の喫煙場所のうち、4か所を廃止し、庁舎外の駐車場の屋上に1か所を新設。本館5階を基本的に職員用とし、来庁者の喫煙場所は新館1階の喫茶室横と駐車場とする。

本記事では,大津市における,喫煙室設置の取組を紹介.
同市における庁舎の「フロアー図」*1を拝見させて頂くと,現在の喫煙室は,本館に関しては,「本館1階」*2と「5階」*3に配置されていることが分かる.恐らくは,「1階」の同室に関しては,来庁舎者による利用が想定されていると推察するとすれば(勿論,実際には,その利用者は,来庁舎者,勤務者の何れもかもしれません),同館の各課に配属されている喫煙される職員の方々は,「5階」の同室を,専ら主たる喫煙空間としてご利用されているとも想定されなくもなく,動線的には,間接的に,階段の昇降を通じた健康効果も期待できなくもない(勿論,同館に一基が配置されているエレベーターをご利用されていることも想定されなくもないですが).
一方で,「喫煙者は衝動的」であるとすれば,本記事が分析されている「秘書広報課と副市長室の前を通らないとたどり着け」ないことにより「一般の職員が業務以外で気軽に立ち入れる場所でもない」という配置は,「やめたくてもやめられない喫煙者を禁煙に誘導」*4する「動線*5が設計されている,とも考えられなくもなさそう(か?).
2008年12月7日付の本備忘録において項目立てを試みた本備忘録における妄想的・断続的観察課題のひとつである,「庁舎管理の行政学」の観点(「第4章:執務と憩いの空間としての庁舎」でしょうか)からも,同配置による,職員の方々の喫煙動向の変容は,興味深そう.

*1:大津市HP(各課の連絡先・提供情報)「大津市役所フロアー図

*2:大津市HP(各課の連絡先・提供情報大津市役所フロアー図)「本館1階

*3:大津市HP(各課の連絡先・提供情報大津市役所フロアー図)「本館5階

*4:依田高典・後藤励・西村周三『行動健康経済学』(日本評論社,2009年)157頁

行動健康経済学―人はなぜ判断を誤るのか

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*5:西出和彦『建築計画の基礎』(数理工学社,2009年)118頁