総務省は30日、都道府県と市区町村を合わせた全自治体(一部事務組合、広域連合を含む)の2009年度普通会計決算を発表した。地方税などの収入から、人件費や借金返済など義務的経費に充てた割合を示す経常収支比率は93・8%で、前年度から1・0ポイント上昇、統計のある1969年度以降で最悪の水準となった。
 歳入総額は地方税が減少する一方、景気対策で国の補助金が増えたため6・7%増の98兆3657億円。歳出総額は7・2%増の96兆1064億円で、いずれも2年連続の増加。
 歳入のうち地方税は、11・1%減の35兆1830億円。景気後退で地方法人2税(住民税、事業税)が42・7%減の5兆1631億円と大幅に落ち込んだことが影響した。補助金など国庫支出金は、国が大型補正予算を編成したことで44・3%増の16兆7653億円となり、地方交付税(2・7%増の15兆8202億円)を上回った。

総務省は30日、地方自治体の2009年度普通会計決算の集計結果(確定値)を公表した。地方税など使途が自由な一般財源のうち、人件費や公債費といった経常的な経費に充当された割合を示す「経常収支比率」は、前年度から1.0ポイント上昇して93.8%に達し過去最悪を記録、財政構造の硬直化が進んだ。景気悪化に伴う地方税の落ち込みが要因。
 都道府県と市町村を合わせた全体の決算規模は、歳入が前年度比6.7%増の98兆3657億円、歳出が7.2%増の96兆1064億円。ともに2年連続で増えた。地方税が11.1%減少したが、経済対策により国庫支出金が大幅に伸びたため。

両記事では,総務省において,全自治体の2009年度の普通会計決算の状況が発表されたことを紹介.同決算状況に関しては,同省HPを参照*1
両配信記事でも紹介されている「財政構造の弾力性」を示す「経常収支比率」に関しては,「市町村」では「前年度と同じ91.8%」*2となる.ただ,「段階別」自治体「数の状況」を拝読すると,「80%未満」は「9.7%」(平成20年度は7.8%),「80%以上90%未満」は「46.9%」(平成20年度は38.4%),「90%以上100%未満」は「41.4%」(平成20年度は50.9%),「100%以上」は「2.0%」(平成20年度は2.9%)*3の状況にあり,同比率自体は前年度と同様ではあるものの,その構成比率では,平成20年度は「90%以上100%未満」がその半数を占めてはいたものの,「80%以上90%未満」の構成比率が高くなりつつある様相は窺える.
「経験的に」*4,「財政構造の弾力性を判断」するうえで,「町村で70%程度,都市で75%,都道府県で80%が妥当な水準」とも解されてきた同比率.上記の通り,その比率に関しては,全体的な率では90%以上,構成比率からは80%以上がむしろその大宗を占めつつある.従来「自明(taken-for-grantedness)」とされた経験的に「安定性(stability)」*5をもつ指標解釈に関しても,現状の経験を踏まえた再解釈もまた適当なのだろうか.考えてみたい.

*1:総務省HP(広報・報道報道資料一覧2010年12月平成21年度市町村普通会計決算の概要)「平成21年度市町村普通会計決算の概要」及び総務省HP(広報・報道報道資料一覧2010年12月平成21年度都道府県普通会計決算の概要)「平成21年度都道府県普通会計決算の概要

*2:前掲注1・総務省(平成21年度市町村普通会計決算の概要)3頁

*3:前掲注1・総務省(平成21年度市町村普通会計決算の概要)11頁

*4:高木健二『やってみよう,わがまちの財政分析』(公人社,2010年)58頁

やってみよう、わがまちの財政分析 (自治総研ブックス)

やってみよう、わがまちの財政分析 (自治総研ブックス)

*5:Scott,W. Richard.(2007)Institutions and Organizations: Ideas and Interests, Sage Pub:48,51

Institutions and Organizations: Ideas and Interests

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