仙台市は7日、市中心部で11月に社会実験したコミュニティーサイクルの結果をまとめた。回転率(1台の1日当たりの利用回数)は目標を3倍近く上回り、本格導入へ弾みを付けた。ただ、有料になれば利用数が落ち込むのは必至で、事業化には課題も残されている。
 市交通政策課によると、コミュニティーサイクルへの登録者数は5284人に上り、利用回数は延べ1万7884回、1日の平均利用回数は596回。回転率は6回に達し、予想していた2回を大幅に超えた。市は「開始前、登録者は2000〜3000人と想定していた。申し込みが予想以上に多く、登録者に配る集積回路(IC)カードを追加発行して対応した」とうれしい悲鳴を上げる。今後は導入の可否を検討することになるが、課題は料金。河北新報社が期間中、利用者30人に実施した街頭アンケートで、2割以上が「有料なら使わない」と回答。有料化して採算ベースに乗るかどうかも未知数だ。
 先行実施した堺市は、9月から1日300円、1カ月2000円で貸し出したが、利用カードの交付者は11月末現在で約900人にとどまる。堺市の担当者は「金を払って自転車を使うという考えが浸透するには時間がかかる」と苦り切る。仙台市内でレンタサイクルを展開する「リヴシー」(宮城野区)の鈴木秀顕社長は実験の意義を認めつつ、「無料で貸せば利用者が増えるのは当たり前。有料でどの程度の需要が見込めるかを検証すべきだった」と語る。
 市は今後、事業化の可能性を探るため、有料の社会実験を行うことも検討している。総合交通政策部の岩崎裕直部長は「コミュニティーサイクルはバスや地下鉄などの公共交通機関を補完し、車の利用抑制にもつながる。民間主体で事業展開ができるよう、ビジネスモデルを構築していきたい」と話している。
<コミュニティーサイクル>仙台市が11月1〜30日、青葉区の繁華街に10カ所のサイクルポート(貸し出し・返却場所)を設け、100台の自転車を配備した。利用は無料。登録者は男性59%、女性41%。年代別では、40代が25%で最も多く、30代(24%)、50代(20%)と続いた。自転車を当日中に返却しないなどの不適正利用は42件あった。

本記事では,仙台市におけるコミュニティーサイクルの社会実験の取組結果を紹介.同社会実験の取組結果に関しては,同市HPを参照*1
「自転車を共同利用する新しいかたちの公共交通システム」*2として,「せんだいコミュニティサイクル社会実験」との名称のもとで「平成22年11月1日(月)」から「平成22年11月30日(火)」迄の間に,実施された同社会実験では,「仙台市都心部」において,「身分証明書」をもつの「18歳以上の方」を対象に,「利用料・登録料」が「無料」で,市内「10ヶ所」に配置された「サイクルポート」におかれた「100台」の「自転車」を「午前8時〜午後7時(最終返却時間:午後7時30分)」*3間での利用を可能とされてきた.
実際の利用状況としては,第1週目での「10/1の登録開始以降」「11/7現在」では「3,262名」が登録され,「11/1〜11/7までの1週間分」では, 「利用回数」が「平均419回/日」,「回転率」が「平均4.2回/台・日」*4,翌週第2週目では,「11/14現在」では「4,280名」が「登録」と約1,000名が増加し,「利用回数」も「平均528回/日」,「回転率」が「平均5.3回/台・日」*5と何れも第1週よりも増加しいてる.第3週目は,「11/21現在」では「4,967名が「登録」され,第2週からは約700名の増,「利用回数」は「平均583回/日」 ,「回転率 平均5.8回/台・日」*6と第2週に比べると,その利用状況は漸増.第4週目は「11/28現在」で「5,267名」が「登録」と約400名と登録率は先の3週に比べると漸増気味,一方で,「利用回数」は「平均586回/日」と「回転率」が「平均5.9回/台・日」*7とあり,第3週とほぼ同水準での利用状況にあったことが分かる.
2009年12月24日付の本備忘録にて,富山市におけるコミュニティサイクル(「アヴィレ」)の取組を言及させていただいたものの,コミュニティサイクルに関しては,しばしば,その「利用の集中と偏り」*8が観察されるともいう.同社会実験においても,総数のみならず,「条件間比較」*9として,「サイクルポート」毎での利用状況も分かると興味深そう.要確認.

*1:仙台市HP(交通・道路交通政策課ホームページ「せんだいコミュニティサイクル社会実験」は終了しました)「「せんだいコミュニティサイクル社会実験」は終了しました

*2:仙台市HP(交通・道路交通政策課ホームページ「せんだいコミュニティサイクル社会実験」は終了しました)「コミュニティサイクルについて

*3:仙台市HP(交通・道路交通政策課ホームページ「せんだいコミュニティサイクル社会実験」は終了しました)「せんだいコミュニティサイクル社会実験について

*4:仙台市HP(交通・道路交通政策課ホームページ「せんだいコミュニティサイクル社会実験」は終了しました)「登録者数及び利用状況(11月9日速報版)

*5:仙台市HP(交通・道路交通政策課ホームページ「せんだいコミュニティサイクル社会実験」は終了しました)「登録者数及び利用状況(11月16日速報版)

*6:仙台市HP(交通・道路交通政策課ホームページ「せんだいコミュニティサイクル社会実験」は終了しました)「登録者数及び利用状況(11月21日速報版)

*7:仙台市HP(交通・道路交通政策課ホームページ「せんだいコミュニティサイクル社会実験」は終了しました)「登録者数及び利用状況(11月23日速報版)

*8:古倉宗治『成功する自転車まちづくり』(学芸出版社,2010年)154

成功する自転車まちづくり―政策と計画のポイント

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*9:渡辺幹・船木由喜彦「実験:それは比較すること」清水和巳・河野勝編著『入門政治経済学方法論』(東洋経済新報社)101頁

入門 政治経済学方法論

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