県職員の採用方式について、平井伸治知事は8日、来年度から合格者全員を採用する従来の方式に戻すことを明らかにした。県議会本会議で福間裕隆議員(絆)の質問に答えた。片山善博前知事は05年度から、多めに出す合格者から得点順に採用者を選ぶ現行方式を導入していた。
 現行方式では、待たされて結局採用されない合格者が生じる。05年度から昨年度までに53人の合格者が採用されていないという。合格の有効期限は1年間で、その間は採用される可能性があり、不安定な状況に置かれる。平井知事は「合格者にとって1年間は中ぶらりん。雇用不安が広がる中で不適切であり、以前の方式に戻したい」と述べた。現行方式は、欠員が生じた場合にすぐ補充できる利点がある。地方公務員法は現行方式と従来方式の双方を規定している。【遠藤浩二

本記事では,鳥取県における職員採用方式の変更方針について紹介.現行方式に関しては,同県HPを参照*1
現行方式では,2次にわたる試験の実施後, 「採用候補者」が確定され,「鳥取県人事委員会が作成する採用候補者名簿に成績順に登載」,その後「 任命権者(知事・教育委員会等)」が「欠員等の状況を考慮」されつつ,「名簿確定の日から原則として1年間有効」の採用候補者「名簿に登載された」方のなかから,「採用者を決定」される.あわせて,本記事にも紹介されているように,「採用候補者名簿に登載された」方が「すべて採用されるとは限りません」との断りも「受験案内」*2には記載されている.例えば「平成21年度鳥取県職員採用試験(大学卒業程度)の採用候補者」数を拝見させて頂くと,「事務(一般コース)」の場合,「採用予定者数」は「10名程度」のなかで,「申込者数」は「500名」があり,実際の「第1次試験」では「345名」が「受験」され,その後「第1次試験合格者数」は「29名」となり,次いで実施された「第2次試験」では,「28名」が受験されている.その結果,「採用候補者数」は「16名」*3となり,当初「採用予定者数」と対比すれば,6名の増の状況あることが分かる.
2008年12月28日付以降の本備忘録でも取りあげているように,「自治体人事管理の半開き(semi-open system)化」という(妄想的)仮説とは異なり,「4月1日」付の「採用予定日」での「一括採用・一括管理としての内部管理型人事」*4を徹底される取組として整理ができそう.実質的にも,現行方式を通じて,「4月1日」に限定されない,年度内での「欠員等の状況」に応じた,いわば,同一年度内での分散的な採用を図られてきたのだろうか,要確認.
一方で,「一括採用」が徹底される場合,実際の採用者数を見込んだ,合格者数を確定されることが不可欠となり,2010年8月11日付及び同年10月3日付両本備忘録で記録した,合格数者過誤と採用者数過誤との間での「ディレンマ」*5への対応も不可避となりそう.変更される方式及び変更後の採用状況も,要経過観察.

*1:鳥取県HP「平成22年度鳥取県職員採用試験(大学卒業程度)受験案内

*2:前掲注1・鳥取県(平成22年度鳥取県職員採用試験(大学卒業程度)受験案内)5頁

*3:鳥取県HP(県政情報広報・広聴報道提供資料県政一般・報道提供資料)「平成21年度鳥取県職員採用試験(大学卒業程度)の採用候補者の決定について」(2009年08月12日提供 資料提供)

*4:大森彌『変化に挑戦する自治体』(第一法規,2008年),250頁.

変化に挑戦する自治体―希望の自治体行政学

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*5:手塚洋輔『戦後行政の構造とディレンマ』(藤原書店,2010年)24頁

戦後行政の構造とディレンマ―予防接種行政の変遷

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