大阪府箕面市議会は20日、カラスへの餌やりを禁止した「箕面市カラスによる被害の防止及び生活環境を守る条例」を可決した。2011年7月から施行される。
 市によると、カラスの餌やりを禁止した条例は東京都荒川区が定めている例があるものの、全国でも珍しい。条例案では、餌目当てにカラスが集まってくることを認識しながら餌を放置することを禁止し、餌の回収を義務付ける。市の立ち入り調査を拒否したり、是正命令に従わなかったりした場合、市は警察などに告発し10万円以下の罰金を科す。箕面市によると、市南部で住民がネコにやった餌を狙ってカラスが集まり、ふん尿や鳴き声などの被害が広がった。

本記事では,箕面市において,「箕面市カラスによる被害の防止及び生活環境を守る条例」が可決されたことを紹介.
2009年10月23日付の本備忘録にて記した,下名の中心的観察課題である「自治体内会議体」の観点からも,「複層式」*1の「庁議制度」を採用されている同市.両会議では,2010年11月9日の「午後1時40分〜午後2時15分」に同市で開催された「平成22年度第9回政策調整会議」において,「原案を了とし,政策決定会議に諮ること」*2「平成22年度第6回政策決定会議」において,「原案を了」とされ,同日の「午後2時20分から午後2時55分」とまさに引き続き開催された「平成22年箕面市議会第4回定例会に提出」*3された同条例案
両会議では,原案と修正案の対比された「箕面市カラスによる被害の防止及び生活環境を守る条例(修正案)」*4が資料として提出され,「政策調整会議」では,「パブリックコメントに出された意見」に基づく「条例案を変更する部分」の有無の確認,「検察庁との協議の結果,変更する主なポイント」*5の内容確認が行われて,「政策決定会議」では,条例素案から「立ち入り調査及び質問の権限は,犯罪捜査のために認められたものと解してはならない」*6との文言が追加されたことへの確認がなされている.「政策調整会議」では,「持ち去りを禁止する対象物を明示するための手法として,協議開始当初は「排出方法の特定」で大丈夫という話だったが,やはり例規上もっと確実に明示すべきだとして,「排出場所の特定」に変更するよう指示」*7があったことも報告されており,「慣行」*8としての「地方検察庁協議」の様子も窺うことができる.来年前半にかけて,法務事案の決定手続の観点から,「自治体内会議体」の役割,「自治体外会議体」の関係について,少し考えて見たい課題であり,興味深い.

*1:松井望「首長と事務機構−首長の意思決定機構を支える仕組みとしての庁議制度−」『都市とガバナンス』Vol.12,2009年9月,24頁

都市とガバナンス 第12号

都市とガバナンス 第12号

*2:箕面市HP(市政施策・計画・プラン箕面市政策調整会議・政策決定会議トップ)「平成22年度第9回政策調整会議

*3:箕面市HP(市政施策・計画・プラン箕面市政策調整会議・政策決定会議トップ)「平成22年度第6回政策決定会議

*4:箕面市HP(市政施策・計画・プラン箕面市政策調整会議・政策決定会議トップ平成22年度第6回政策決定会議)「資料2 箕面市カラスによる被害の防止及び生活環境を守る条例(修正案)

*5:前掲注2・箕面市(平成22年度第9回政策調整会議)

*6:前掲注3・箕面市(平成22年度第6回政策決定会議)

*7:前掲注2・箕面市(平成22年度第9回政策調整会議)

*8:北村喜宣『自治力の情熱』(信山社,2004年)103頁