神戸市の須磨海水浴場で今夏、麻薬取締法違反容疑などで大学生らが逮捕された事件を受け、同市は24日、海水浴客が入れ墨(タトゥー)を露出することを条例で禁じる方針を明らかにした。タトゥーは若者のファッションの一つとされ、同市によると、自治体が開設する海水浴場でこうした条例を定めるのは全国初という。
 同市や兵庫県警、地元団体などによる「須磨海岸の健全化に関する専門チーム」が9月以降、11回にわたり協議。この日中間報告書をまとめた。入れ墨の露出規制は、皮膚の表面にシールを貼ったり染料を塗ったりする「フェイクタトゥー」についても、「本物と同じように見えるものは規制する」とした。罰則は設けず、場内放送などによる注意に従わなかった場合は退去命令を出す。来年1月に「須磨海岸を守り育てる条例」の改正案を発表、2月の市議会定例会に提案する予定。改正案には、約10カ所の喫煙スペース以外での喫煙禁止も盛り込む。また、海の家の占有許可の条件を厳格化。営業時間を短縮するほか、ディスコ・ホールとしての利用を禁止し、音響機器にも制限を設ける。併せて、海水浴場の開設期間を延長するなど利用促進策も進めるという。
(黒田勝俊)

本記事では,神戸市において,同市が「開設する海水浴場」での「入れ墨の露出規制」整備の方針を紹介.同方針の詳細に関しては,同市HPを参照*1
同市が制定されている「須磨海岸を守り育てる条例」*2の第2章における「禁止行為」において,「入れ墨等を公然と露出したり,粗野・乱暴な言動ををすることにより,他の海岸利用者に不安や畏怖等を覚えさせ,安全・安心な海岸利用を妨げること」*3を規定する方針.一方で,同方針では「海岸内禁止行為にかかる重点パトロールを実施」されるとともに,「市・警察等による合同パトロールを定期的に実施」,「市民との協働による合同パトロールを実施」*4とあるものの,「高レベルの執行水準」には「人海戦術*5も必要とも考えられなくもない.「監視と統制」の「コスト」の「二次的ジレンマ」*6の解消方策もまた,要確認.

*1:神戸市HP(市政情報記者発表資料2010年12月須磨海岸の健全化のための対策(方針)の策定)「須磨海岸の健全化のための対策【方針】」(須磨海岸の健全化に関する専門チーム,平成22年12月)

*2:神戸市HP(市政情報統計・公文書・報告書条例・規則・公報神戸市例規神戸市例規)「須磨海岸を守り育てる条例」(平成20年3月31日,条例第37号)

*3:前掲注1・神戸市(須磨海岸の健全化のための対策【方針】)4頁

*4:前掲注1・神戸市(須磨海岸の健全化のための対策【方針】)5頁

*5:北村喜宣『行政法の実効性確保』(有斐閣,2008年),33頁

行政法の実効性確保 (上智大学法学叢書)

行政法の実効性確保 (上智大学法学叢書)

*6:山岸俊男社会的ジレンマ』(PHP出版,2000年)98頁

社会的ジレンマ―「環境破壊」から「いじめ」まで (PHP新書)

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