税金滞納者から差し押さえた財産を一般市民による入札方式で売却する公売会が活況だ。ブランド・美術品やテレビなどの家電といった高額品から食器・衣類などの日用品、マンガ本・CDまで−。不況に加えて各自治体の徴収対策の強化も影響してか“充実の品ぞろえ”。佐賀県内でも一般の参加者は増えており、「節約術」として日用品を買いだめる人や掘り出し物狙いなどさまざまだ。
 15日に武雄市文化会館であった県と5市町合同公売会。土曜日の午前中とあって開場前から家族連れでごった返し、優に250人は超えた。324点の出品に対して258点約32万円分が落札され、担当者は「近年では一番多いのでは」と、思わぬ盛況で対応に追われた。参加方法は簡単。所定の入札用紙に主催者が示した見積価格以上の希望金額を記入して投函(とうかん)するだけ。最高額を付けた人が落札で、同額の場合は抽選。落札証明証と引き換えに窓口で代金を支払うと即日受け取ることができる。
 人気は食器や衣類などの日用品。衣料品店から差し押さえた新品のワンピースやブラウスなどすべて見積価格は100円だ。50代の女性は「定価が1万円以上する新品が数百円ですからね」と、大きな袋に衣類を詰めて持ち帰った。ファンヒーターなど暖房器具や毛布もよく売れた。金彩で見事な装飾が施された有田焼の花瓶の見積価格は15万円。九州陶磁文化館の意見を参考に価格設定したが、見ていた愛好家の男性は「いいものだが、転売するにはうまみがないのでパス」。結局、誰にも落札されなかった。
 品ぞろえが“充実”する背景には各自治体の徴税強化もある。2009年に県と17市町が合同で「県滞納整理推進機構」を設立。初年度、各市町が同機構に委託した分についての差し押さえは326件だったが、本年度は昨年12月20日時点で516件と上回っている。公売会は滞納分の現金化以外にも市民へのPR効果も見込んでいる。「きちんと納税していただいた方が不公平感を抱くことのないよう悪質な滞納に対して取り組んでいることも知ってほしい」と担当者。皮肉なことに当分は充実した品ぞろえが続きそうだ。

同記事では,唐津市伊万里市武雄市鹿島市,有田町と佐賀県における,差し押さえ物件(動産)の合同公売会開催の取組を紹介.同取組の詳細に関しては,同県HPを参照*1
同会は,「下見会」が「10時〜11時」の60分間,「入札」が「11時〜11時30分」が90分間.入札に際しては,本記事でも紹介されている「324点の出品」のうち,当初の見積価格の最高額の物品として「武雄市」が出品されている「花瓶金彩紅白梅図」の「有田焼」が「150,000」*2円であったものの, 本記事によると「結局,誰にも落札されなかった」とのこと.一方で,「見積価格は100円」の「食器や衣類などの日用品」は「人気」とも報道されており,さながら「百均」状態であった模様.
いわば,「自治体間の横の連携」*3による合同公売会の開催.横の連携を通じて一定量の公売品が蓄積となり,入札への参加者の増加という相転移も生じるようでもあり,興味深い.

*1:佐賀県HP(記者発表資料平成23年1月差押財産の合同公売会を開催します)「差押財産合同公売会〕

*2:前掲注1・佐賀県(差押財産合同公売会)

*3:田口一博「自治体間の横の連携」森田朗・田口一博・金井利之『分権改革の動態』(東京大学出版会,2008年)154-155頁

分権改革の動態 (政治空間の変容と政策革新)

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