優秀な人材を確保するため通常試験より3カ月早く行う佐賀県職員採用の「行政特別枠」(大卒程度)で、佐賀県人事委員会は来年度、採用予定者を2倍の10人に増やし、語学力の優れた人は2次試験(400点満点)で最大1割加点する。1次の教養試験は公務員向けではなく民間企業でも出題される内容に変更、より多様な人材確保を目指す。
 行政特別枠は採用内定が早い民間に対抗し、優秀な人材を獲得しようと2008年度から導入した。過去3回は採用予定5人に対し469〜580人の応募があり、競争倍率は93倍〜116倍の超難関だった。試験は教養試験と論文、面接3回(通常試験は2回)を行っている。採用数を倍増したのは、行財政改革で取り組んだ職員減員が一段落したことや厳しい雇用情勢を考慮した。 
 語学力重視は、県の国際戦略強化方針に沿う。中国語、韓国語、英語が対象で、2次試験でビジネス会話ができるレベル(TOEIC730〜860点未満、実用英検準1級など)の資格は20点、それ以上は40点を加点する。面接重視の一方、1次の教養試験はこれまで自治体向けで各分野で深い知識を求める内容だった。「より多様な人材を集めたい」として、公務員試験対策まで必要とせず、民間企業で出題される内容に変更する。受け付けは2月7〜28日。書類選考を経て1次試験は4月10日、佐賀市と東京で行う。最終合格者発表は6月上旬の予定。問い合わせは人事委事務局、電話0952(25)7295。

同記事では,佐賀県における職員採用の取組を紹介.2010年1月7日付の本備忘録にて紹介した佐賀県における「行政特別枠」.同取組の詳細に関しては,同県HPを参照*1
本年度の同枠では,「語学資格(英語,中国語,韓国語)を保有している人には,第2次試験で加点を行います」とも紹介されているように,本年度は,「語学力」という専門性を重視された採用の方針の模様.対象資格等に応じて「20点加点」と「40点加点」に分かれており,「20点加算」は,まず英語では,実用英語技能検定が準1級,TOEICが730点以上860点未満,TOEFL(PBT)が550点以上600点未満,TOEFL(iBT)が79点以上100点未満,国際連合公用語英語検定試験がA級であること.中国語は,中国語検定試験が2級,準1級,中国語コミュニケーション能力検定が550点以上900点未満であること.韓国語は,ハングル能力検定試験が準2級,2級,韓国語能力試験が4級,5級であること,とされている.一方で,「40点加点」には,英語が実用英語技能検定が1級,TOEICが870点以上,TOEFL(PBT)が860点以上,TOEFL(iBT)が100点以上,国際連合公用語英語検定試験が特A級であること.中国語では,中国語検定試験が1級,中国語コミュニケーション能力検定が900点以上であること.韓国語は,ハングル能力検定試験が1級,韓国語能力試験が6級であること,とされている.
選考に際しては,「特殊体系化された知識・技能」でありつつも「個別の職域の特徴にかかわらず,共通に応用可能な性質が濃い」「専門能力」*2を把握するうえでも,外部資格の保有の有無が,確かに,一つの選考基準.なるほど.ただ,「専門資格」を取得されていなくても「専門能力」を有する方(上記語学を用いる国々での生活を有する方等)の採掘,又は,「専門資格」を取得されつつも「専門能力」としての発揮が十分ではない方などの存在,いわば,資格取得と能力保有との間の乖離の是正を図るうえでも,「第2次試験」の「面接試験Ⅰ」,「第3次試験」の「面接試験Ⅱ・Ⅲ」において「実技」を図ることも一つの考え方かな.実際の選考過程は,要経過観察.

*1:佐賀県HP(人事委員会事務局職員採用情報サイト「汗と涙と熱血魂!!佐賀県職員大募集!!」)「平成23年度 佐賀県職員採用試験(大学卒業程度)〔行政特別枠〕」.昨年も拝見しましたが,やはり,同県の同サイトの「熱血」ぶりは,凄いですね

*2:水谷三公『官僚の風貌』(中央公論新社,1999年)359〜360頁

日本の近代 13 官僚の風貌

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