片山善博総務相は21日の閣僚懇談会に、国から地方自治体への出向が昨年8月現在で1666人と、公表を始めた1999年以降最多となったとする調査結果を報告した。片山氏は官僚の出向が省庁側の「押し付け」にならないよう各閣僚に要請した。
 総務省の調査によると、地方への出向は前年比49人増で、省庁別では国土交通省460人、警察庁450人、総務省299人などとなっている。出向先の内訳は都道府県が1220人、市区町村が446人。ポストは北海道、愛知など19道県で副知事に就任し、総務部長や副市長などを含む部長級以上で計323人となっている。逆に国が受け入れている自治体職員は、前年から22人減って1996人だった

同記事では,総務省において「国と地方公共団体との間の人事交流状況」を公表されたことを紹介.同状況に関しては,同省HPを参照*1
「平成22年8月15日現在の状況」としては,「出向元に戻ることを前提とした」「国から地方公共団体への出向者」の「総数」は「1,666人」 であり,「都道府県への出向者」は「1,220人」,「市町村への出向者」は「446人」,一方で「地方公共団体から国への出向者」の「総数」は「1,996人」,これらのうち「都道府県からの出向者」が1,813人」 ,「市町村からの出向者」は 「183人」*2とある.本記事では,同状況調べをもとに「国から地方への出向」について紹介されているものの,「地方公共団体から国への出向」状況を「総括表」をもとに確認をさせて頂くと,出向者が多い府省順では,まずは,警察庁の1366人,次いで,国土交通省の173人,そして総務省の70人となり,順不同ではあるもの,国からの出向者が多い省庁と上位3府省は同一の府省にある.その後は,農林水産省の67人,厚生労働省の66人,文部科学省の60人,財務省の52人,環境省の36人,経済産業省の30人,内閣府の15名,法務省の10人,外務省の10人,会計検査院の8人,防衛省の5人,公正取引委員会4人,消費者庁1人の順となり,金融庁宮内庁公害等調整委員会人事院に関しては0名であることが分かる.
喜多見富太郎先生によると,「自治体から国への出向について」は「出向省庁にとって事務補助的な人材活用の目的」が「強い」こと,ただ「出向元自治体にとっては,国との間で将来の人的ネットワークをつくるという意味で,国への出向にコントロール目的」がなくはないこと,一方で「国は,自治体からの出向職員を育成・教化し,彼らを通じて出向後の自治体へのコントロールを行う場合も想定される」ことなどの「国から自治体への出向とは別に検討すべき論点が多数存在する」*3と解されている.府省毎の差異もまた,その「主観的目的」が「省庁によって異なる」*4のだろうか.考えてみたい課題.

*1:総務省HP(広報・報道報道資料一覧2011年1月)「国と地方公共団体との間の人事交流状況

*2:前掲注1・総務省(国と地方公共団体との間の人事交流状況)

*3:喜多見富太郎『地方自治護送船団』(慈学社,2010年)103頁

地方自治護送船団―自治体経営規律の構造と改革

地方自治護送船団―自治体経営規律の構造と改革

*4:前掲注3・喜多見富太郎2010年:103頁