政令指定都市に替わる制度の在り方を検討してきた横浜市会大都市行財政制度特別委員会は8日、2010年度の調査研究の報告書をまとめた。二重行政の解消へ向け、さまざまな行政分野で横浜市が持つ専門性を活用し、近隣自治体のメリットになるような対等な広域連携を提言。市が新たな大都市制度の実現を国などに要望することと併せて、周辺自治体の意向、ニーズ調査の必要性を指摘している。
 報告書では、新たな大都市制度について、「横浜市を取り巻く近隣周辺自治体にとっても意義あるものであるという認識を共有してもらうことが重要」との認識を示し、水平的・対等な連携協力の実現へ向け、自治体間の協議会のような形で話し合いの場を持つ必要があるとしている。具体的な提案として、(1)大都市の持つ専門性を活用した連携(2)経済・産業施策の連携(3)それぞれの強みを生かした観光施策の連携(4)地域医療の連携(5)市境を越えて同一生活圏を形成している場合の連携(6)災害発生時、環境・治水対策の連携(7)都市間移動の円滑化―などを打ち出した。保健衛生、消防、水道などの分野で横浜市保有する専門的なノウハウを広域を対象とした事業で活用することで、「近隣自治体は効率的な事業運営と費用負担軽減を享受することができる」と指摘。羽田国際化を踏まえた川崎市との連携による企業誘致や近隣自治体を含めた地域医療ネットワークの一層の充実、街づくりや交通インフラでの連携などを提案している。
 市側も「大都市制度における広域連携・財政調整に関する研究会」(座長・辻琢也一橋大学大学院教授)を設置、広域連携や財政調整の在り方を検討しており、今回の報告と合わせて新たな大都市制度の具体化に反映させていく考えだ。 

本記事では,横浜市会に設置された「大都市行財政制度特別委員会」における調査研究報告書の内容を紹介.
2010年10月17日付の本備忘録においても取り上げた同市会同特別委員会における「水平的・対等な連携協力」に関する検討の結果.具体的には,「市境を越えて同一生活圏を形成」されているような「近隣」自治体との間での「水平的・対等な連携協力」に関する検討がなされ,「経済・産業施策」「観光施策」「地域医療」「災害発生時,環境・治水対策」において「自治体間の協議会のような形で話し合いの場を持つ必要」が提案された模様.ただ,これらの政策以外にも水平的・対等な連携協力が検討できる政策領域も想定されなくもなく,ただその場合,「近隣」に限らず,より「広域」に連携協力が考えられそうな政策分野もありそう.例えば,昨日,訪問させて頂いた鳥取県庁において,お聞きした「自立と分散で日本を変えるふるさと知事ネットワーク」が提案された「都市の高齢化」*1などについても,既存の介護保険制度改正を要しつつも,連携協力による対応の可能性が想定されそう.同調査研究報告書では,既存制度・仕組みで対応可能な広域連携を優先的に提案されたものと解することが適当なのだろうか.
本記事を拝読させて頂く限りでは,同調査報告書は,「二重行政の解消」に向けて「対等な広域連携を提言」された模様.広域連携を通じて,「住民から見て手続きが煩雑であるなどの障害」*2になるとも解される「二重行政」の解消に結びつくことの関係性に関しては,下名上手く整理がついてはいないものの,興味深そうな内容.同検討結果に関しては,現在のところ,同市会HP*3では掲載されてはいない模様,残念.公開後,要確認.