近江八幡市は、災害時に使う「大災害支援基金」を創設するため、関連3条例案を13日の市議会臨時会に提案する。市職員給与の1%を削って基金に充てる内容だが、労使合意に達していない。このままでは強制的な徴収になりかねない状態で、職員の労働組合は「職員の自主的な寄付ではなぜだめなのか」と反発している。
 基金は、地震、水害などの災害発生時に被災者用の食料・日用品購入や一時金に充てる。東日本大震災を含む市外の被災地支援にも使える。市職員給与の1%のほか、市長給与の5%、議員報酬の5%などを削って財源とし、年5千万円積み立てる。
 冨士谷英正市長が4月上旬に基金創設の意向を固め、市が職員の労働組合2団体に打診した。自治労連職員組合は同意したが、組合員が多い市職員労働組合連合会は「基金の趣旨には賛同するが、手法には納得がいかない。生活給を下げる深刻な話なのに、義援金に使う場合の基準など不明点が多すぎる」(高橋俊則委員長)と拒否。代わりに同組合が1千万円を基金に寄付する対案を出したが、市は認めなかった。市は「基金には市民、企業の寄付も募る。市職員が率先して取り組む姿勢を示すべきで、身銭を切る給与カットでないと意味がない。労使交渉は続ける」(山田義和総務部長)としている。

本記事では,近江八幡市における基金設置の取組を紹介.「災害発生時に被災者用の食料・日用品購入や一時金」のために,「市職員給与の1%」「市長給与の5%」「議員報酬の5%」を削減し,当該削減分である「年5千万円」を積み立てる方針の模様.加えて,同基金を「市外の被災地支援」にも用いる方針,とのこと.「平成23年5月13日(金)」からの開催が予定されている「平成23年第1回市議会臨時会」*1へ,同取組に関する条例案が提出されるよう.ただ,同取組及び条例案の内容に関しては,同市HPでは,現在のところ,確認ができず.残念.公表後,要確認.
2011年5月10日付の中日新聞を拝読させて頂くと,資金の原資となる給与・報酬の削減は,恒久的なものではなく,2011年「6月1日から2014年3月末まで2年10カ月」*2と期間が限定されるとも報道.本記事を更に拝読させて頂くと,同市役所内にある職員組合の2つのうち一つからは「同意」,もう一つからは,「袋引き」*3との認識に基づかれたのだろうか,「拒否」されている,ともある.
自治体機構」では,「二つの住民代表機関の権能の相互作用を法制度上の基軸」とされつつも,「実際には四極構造化の様相」が「チェック・アンド・バランスの図式を描いている」*4ことが観察されていたものの,その一つの極の先は,更に分かれた,先割れスプーンのような図式であるとの認識が適当なのだろうか.要確認.

*1:近江八幡市HP(市議会市議会)「新着情報

*2:中日新聞(2011年5月10日付)「近江八幡市、災害基金条例提案へ 特別職ら給与減額し財源

*3:橋本勇『新版 逐条地方公務員法』(学陽書房,2002年)369頁

新版 逐条地方公務員法

新版 逐条地方公務員法

*4:寄本勝美「四極構造による政治化」大森彌・佐藤誠三郎編『日本の地方政府』(東京大学出版会,1986年)189〜190頁

日本の地方政府

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