熊本都市圏の地下水が減少傾向にあることを受け、県は9日、地下水保全条例を改正し、地下水を大量に取水する企業などを対象に許可制を導入する方針を明らかにした。許可が必要になる取水量の基準や、罰則を検討して9月議会に提案、来年4月施行を目指す。
 県によると、熊本市菊陽町など熊本都市圏11市町村では、約100万人が生活用水の大半を地下水に依存している。しかし、水田の減少などを背景に各地で地下水位が低下。合志市の観測地点では最近の20年間で水位が約1メートル下がる状況となっている。熊本都市圏では現在、地下水の採取は届け出制(自家用など除く)で事実上自由だが、県環境保全課は「すでに余裕はなく、適正管理を促す必要がある」と判断した。
 条例改正案の素案は、地下水を「県民共有の公共的財産」と位置付け、水位の低下が明らかな都市圏などを「重点地域」に指定。地域内で大量に取水する場合、知事の許可を必要にする仕組み。取水量に応じて、水源養成林の整備など、保全対策も義務付ける方針だ。県は9日、「熊本地域地下水保全対策会議」(議長・蒲島郁夫知事)を開き、11市町村長らに素案を説明。地下水保全を進めるため、県や熊本市などが来春設置する公益財団法人の名称を「くまもと地下水財団」にすることも決めた。

本記事では,熊本県における地下水保全条例の改正方針に関して紹介.
従来は,「揚水設備により地下水を採取しようとする者は,揚水設備ごとに,規則で定めるところにより」「氏名又は名称及び住所並びに法人にあっては,その代表者の氏名」「揚水設備の場所」,「水設備のストレーナーの位置、吐出口の断面積及び原動機の出力」,「採取する地下水の用途」,「地下水の採取量」,「その他規則で定める事項」を「知事に届け出なければならない」(第23条)と届出制*1を採用されいた,1990年に制定された「熊本県地下水保全条例」.本記事を拝読させて頂くと,許可制へと改められる方針の模様.詳細に関しては,現在のところ,同県HPには掲載されていない模様.公表後,要確認.
「許可制といっても,現実には様々なパターンがある」*2もの,同条例では,どのような許可制を規定され,加えて,届出制からの移行に伴う「従前行為の扱い」に対して,四方や「既存不適格」の措置とされるのか,又は,経過措置を置かれるのか,事実上の「審査なき「永久ライセンス」」となりうる「一定事項」の届け出により「許可を得たものとみなす」*3措置とされるのか,今後の同条例改正の検討状況は,要観察.

*1:熊本県HP(県庁の組織で探す県政情報文書課熊本県例規集(平成22年10月31日現在))「熊本県地下水保全条例〔水環境課〕」(平成2年10月2日,条例第52号平成2年10月2日)

*2:北村喜宣『環境法』(弘文堂,2011年)141頁(本書,真面目に,冒頭から読みたいのですが,なかなか時間も取れず,本備忘録への記録を利用して,部分読みを繰り返すのみ.なるほど,と思う点ばかりで,大変勉強になります)

環境法

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*3:前掲注2・北村喜宣2011年:145頁