鳥取県は7日、焼き肉チェーン店「焼肉酒家えびす」の集団食中毒事件を受け、飲食店や精肉店での生レバーの提供を禁止する方針を固めた。県食品衛生法施行条例の改正案を9月議会に提出する。県によると、生レバー提供禁止の条例改正は全国初。
 厚生労働省の審議会は生レバーの法的規制について検討しており、平井伸治知事は記者会見で「できるだけ早く条例を制定して、県民の皆さんに安心してほしい」としている。案では、レバー以外の生食用肉の提供を許可制にすることや、生食のリスクをメニューに表示することも盛り込んでいる。違反した場合、営業停止の罰則も設ける。

本記事では,鳥取県における「食品衛生法施行条例」*1を改正され,生レバーの提供を禁止される方針であることを紹介.同方針に関しては,2011年7月7日付の同県知事定例記者会見を参照*2.「強制力を持った条例化も視野に入れ」,「生食の取扱いについての許可制の導入」*3の方針の模様,
2011年7月6日付の時事通信では,「厚生労働省」は7月「6日,牛生肉の表面を加熱殺菌することなどを盛り込んだ基準案を薬事・食品衛生審議会部会に示し,了承」され,「今後内閣府食品安全委員会と同審議会の議論」を行い,本年「10月にも食品衛生法に基づく衛生基準を新設」される方針を確定され,あわせて「生レバー」に関しては「当面提供しないよう飲食店を指導」を行い,並行的に「基準を設けるかの議論を年内に始める」予定であることが配信.同配信記事を拝読後に本記事を拝読したため,同県の同県の同条例改正の取組とは随分と早いなあ,と思いつつ,上記知事定例記者会見を確認.すると,同県では「先週7月4日に[鳥取県生食用肉の安全性に関する調査会で]取りまとめかけてい」て「12日に,実は最終案を決めようとして」いたとことであり,「その内容をみて,実は私ども鳥取県もびっくり」との感想が示された程,「ほぼ相似形でその審議会の中に入り込んでい」たものであったという.なるほど.
上記の通り,国レベルでは今後の議論によるところもあって,同県では「国の方の検討はどうなるかは分からない」として「12日に国の方の今回でかけているものと整合性をもう一度検証した上」で「最終とりまとめ」,7「月中にも県として指針を定め」「事業者の協力を求めた指導体制を作」る方針であること,そして「後程,国の方が法規制などでかぶってきた場合には,あとから整合性を持って調整していけばいいかな」*4との方針であることが分かる.
同条例,制度分類では,いわゆる「法律実施条例」,「法律リンク型条例」*5とも整理ができそうではあるものの,上記の通り,法律改正案は検討中であり「法律の規制が存在していない」ことからすれば,機能的には「独自政策条例」とも変容されたものとも理解ができそう(かな).条例から法令への「模倣」により,「政策移転」*6も観察することができるのだろうか.同条例の改正状況及び国レベルでの審議状況のいずれも,要経過観察.

*1:鳥取県HP(県政情報県政基本情報県条例・規則鳥取県 例規集)「鳥取県食品衛生法施行条例」(平成12年3月28日,鳥取県条例第17号)

*2:鳥取県HP(知事のページ鳥取県知事記者会見録平成23年度知事記者会見録)「知事定例記者会見(2011年7月7日)

*3:前掲注2・鳥取県(知事定例記者会見(2011年7月7日))

*4:前掲注2・鳥取県(知事定例記者会見(2011年7月7日))

*5:北村喜宣『環境法』(弘文堂,2011年)86頁

環境法

環境法

*6:秋吉貴雄,伊藤修一郎,北山俊哉『公共政策学の基礎』(有斐閣,2010年),254頁

公共政策学の基礎 (有斐閣ブックス)

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