来年5月1日の新天皇即位に伴う「改元」に絡み、県は条例や規則の表記を一括改正で変更できるかどうかの検討を始める。6日の定例記者会見で平井伸治知事が明らかにした。職員の負担軽減や人件費の削減が狙い。
 平井知事は「いわば『鳥取県方式』とでも言えるような、一括改正という独特の手法も検討していきたい」と話した。個々に改正すると事務作業が煩雑になるという。
 一方で行政システムについては、政府が改元に合わせて西暦に統一する方針を示していることに触れ、県もシステムごとの定期更新時に順次切り替える方針を示した。県によると、管理しているシステムの約2割で和暦表記している。
 来週にも庁内連絡会議を設立し、具体的な時期や方法を協議する予定。【園部仁史】

本記事では、鳥取県における改元への対応について紹介。
同県では、改元に際して、「政府の方は西暦に全部直すということを前提」とするなか、同県では「大体2割弱が和暦でシステム上」「年を管理している」おり、これにより「西暦に一旦直すとシステムの根幹に入ってきてしまって、結構お金がかかる」ことから、「和暦のものは和暦で次の元号改元してい」き「当面はそういう措置で十分なのではないだろうか」という認識にたちながら、「大変な法令関係の作業をするというのも、なるべくなら避け」「スムーズに移行できる形で改元」を「やっていく」*1方針を採用することが紹介。
当該「法令関係も条例や規則」は「一つ一つ改正をしていくという作業が出」てくることとなり、元号の改正自体は「ただあまり正直実益がある改正ではなく」「中身改正に実益はそんなにあると思え」ないとともに「5月1日なら5月1日で一斉にやらなくてはいけなくて、かなり総動員した手間をかけなければいけない」ため、例えば「一括して、本県の条例は元号、これを平成から○○に改めますというふうに書いてしまって、それで全体条例に波及させる」、「いわば鳥取県方式とでもいえるような法令改正をこの際やってしまってもよいのではないだろうか」*2との考えが示されている。
手順での負担も軽減するために、上記の改元「時期は統一地方選挙が」あり「統一地方選挙のときに」「議会を開いて条例改正やれるかというと、正直なかなか現実的ではない」ことから、「専決事項としての議決をし」、これにより「執行部側で時が来たらその内容で専決をさせていただくということが可能になり」、「その専決の内容について事後承認を」「新メンバーの県議会でもらえる」と「比較的スムーズに進むのではない」*3か、との見立ても示されている。
自治体の環境に対して応答的」*4でありながらも同県としての対応。実際の対応方法は、要観察。

*1:鳥取県HP(知事のページ鳥取県知事記者会見録:平成30年度知事記者会見録知事定例記者会見(2018年6月6日))「新元号改元への対応

*2:前掲注1・鳥取県(新元号改元への対応)

*3:前掲注1・鳥取県(新元号改元への対応)

*4:大石貴司「自治体におけるPDCAサイクルの効用 ー条例の見直しにおける展開へ」北村喜宣・山口道昭・礒崎初仁・出石稔・田中孝男編『自治政策法務の理論と課題別実践 鈴木庸夫先生古稀記念』(第一法規、2017年)、129頁

自治体政策法務の理論と課題別実践-鈴木庸夫先生古稀記念

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