受動喫煙による健康被害を防ごうと、流山市は25日、「受動喫煙防止条例案」を9月1日開会予定の市議会定例会に提案すると発表した。市の施設や約300カ所ある公園の敷地内を全面禁煙とし、室外空間も規制対象とする全国初の内容。市内の飲食店など各店舗には全面禁煙または分煙スペースの確保を「努力義務」として課す。ただ、居酒屋やパチンコ店など適用除外も設けられている。罰則規定はないが、同市ではより実効性を高めるため3年ごとに規定を見直していく方針だ。
 市は2007年1月に「健康都市宣言」を行い、健康的な生活環境の構築に向けたさまざまな施策を展開。その一環として同条例案の策定を検討していた。可決されれば来年4月1日に施行される。市によると、神奈川県が昨年4月に受動喫煙防止条例を施行しているが、市町村単位では同市が全国初の制定となる。公園を対象としている点でも全国で初めての条例となる。
 全面禁煙の対象となるのは市役所、公民館、福祉会館などの施設と公園。これら施設の敷地内全てが禁煙の対象となるため、例えば建物の外にある玄関前や中庭などでも一切喫煙できなくなる。公園は都市公園法に規定された市内の公園約260園に加え、子どもの遊び場なども含めた計約300カ所が対象。

本記事では,流山市において「受動喫煙防止条例案」を同市議会に提案する方針であることを紹介.同条例の概要に関しては,2010年「10月21日(木)」から「11月22日(月)」間で実施されたパブリックコメント時点の「素案」*1を参照.
同条例(素案)では,第9条に規定されるように「市が設置し,又は管理する」「公共的施設」と「公園」は「禁煙」となる.ただし,第8条に基づき,「施設管理者」は,「公共的施設における屋内の公共的空間を全面禁煙」,そして「極めて困難である場合」には「当該公共的空間」への「分煙の措置」に関しては,「努力義務」*2であることが基調とされている模様.
本記事でも紹介されている,神奈川県受動喫煙防止条例の策定後には「政策の「最適な解」を求めていく努力を惜しんではならない」*3との回顧が示されている.ただ,現実の制定段階では,その制約要因から「満足解」*4として制定されることになる.本記事を拝読させて頂くと,「実効性を高めるため3年ごとに規定を見直していく方針」ともある.その見直しを通じて,現状に応じた最適解としての条例として改正を進めていくことになると興味深そう.ただし,同方針は,素案段階では規定されていない.今回提案される案段階では,規定されているのだろうか.要確認.

*1:流山市HP(各課所属一覧健康増進課最新情報パブリックコメント実施結果について)「(仮称)流山市受動喫煙防止条例(素案)

*2:前掲注1・流山市((仮称)流山市受動喫煙防止条例(素案)] )

*3:松沢成文受動喫煙防止条例』(東信堂,2009年),184頁

受動喫煙防止条例―日本初、神奈川発の挑戦

受動喫煙防止条例―日本初、神奈川発の挑戦

*4:松井望「政策の決定と実施」首都大学東京都市教養学部都市政策コース編, 和田清美監修『逆発想の都市政策』(ぎょうせい,2011年)136頁

逆発想の都市政策

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