東日本大震災を受けて、国分寺市が、部長級の「危機管理監」(仮称)を10月に創設する方針を固めたことが31日、分かった。震災、原発事故による放射能漏れや食品汚染など危機管理業務を統括する司令塔として、来夏までに、震災対策や「危機管理マニュアル」の骨子案を策定する。同市によると、同様の役割を担う部長級ポストを置いているのは、多摩地区で西東京三鷹、調布に次いで4市目という。(大津和夫
 国分寺市は10月、新ポストの下に、様々な事態を担当する課長約10人でつくるプロジェクトチームを設置する。被災地に派遣された職員や他市、関係団体、専門家への聞き取りなどを踏まえ、課題の整理やマニュアルづくりを行う。緊急事態の対応をめぐって、市はこれまで、震災時には、被害状況の把握は総務部、広報は政策部、要援護者の安否確認は福祉保健部、道路の安全確保は都市建設部――などといった具合に、「縦割りで対応してきたのが実情」(幹部)。
 このため、東日本大震災時、約600人と想定を上回る帰宅困難者の受け入れや要援護者の誘導をめぐり、関係部署間の調整に手間取るなど、課題が浮き彫りになっていた。こうした状況をふまえ、市は、「事態に迅速に対応するためには、縦割りを廃し、担当部署を調整できる司令塔が必要」と判断した。新ポストには危機管理の関連業務に精通した幹部が起用される見通し。ただ、新ポストは当面の間、関連する業務を担当している部長が兼任する可能性もある。市の財政事情が厳しい中、部長ポストを一つ増やすことに、議会から、「人件費増につながる」などと批判が出ることも予想されるためで、同市は慎重に人選を進める方針だ。
 自治体の危機管理に詳しい中邨章・明治大学名誉教授の話「防災だけでなく、危機管理全般に対する職員の意識向上、知識の蓄積を図れる点で、ポストを創設する意義は大きい。同様の動きは今後、各地の自治体でも強まるだろう。ただ、先行する自治体では、危機管理と称し、様々な仕事が丸投げされるケースもあり、担当範囲を具体的に定める必要がある。警察、消防、企業と様々な事態を想定した訓練を重ねるなど、マニュアルづくりにとどまらない対応も欠かせない」

本記事では,国分寺市において「危機管理監(仮称)」を設置される方針であることを紹介.2010年1月24日付の本備忘録以降,本備忘録でも庁内調整への関心から時折記録してきたにて「○○監」の職名をもつ職.本記事を拝読させて頂くと,東京都に位置する市区町村では西東京市三鷹市調布市の3都市にて,必ずしも「危機管理監」との名称を用いられていないようではあるものの,部長級として危機管理を図られる部長級の職を設置.現在のところ,同市HPでは,同職の概要は把握できず,残念.公表後,要確認.
本記事では,「緊急時における対応は,臨機的に完全合理性によって,瞬時に適応する過程ではなく,既存の組織構造及び技術体系によりつつ,新規の事態に対処するものである」*1とも観察されるものの,本記事で中段で紹介されているように,その分王掌が異なることから,個別的な対応に重きが置かれてきた模様.そのため,まさに同職の設置により「総合調整」*2を図ることが同職に期待されている模様.「非ルーティンの業務」*3への対応をはかるためへの,同職のルーティン的な業務状況も要観察.

*1:橋本信之『サイモン理論と日本の行政』(関西学院大学出版会,2005年)170頁

サイモン理論と日本の行政―行政組織と意思決定

サイモン理論と日本の行政―行政組織と意思決定

*2:岡本全勝『新 地方自治入門―行政の現在と未来』(時事通信社,2003年)69頁

新 地方自治入門―行政の現在と未来

新 地方自治入門―行政の現在と未来

*3:稲継裕昭『地方自治入門』(有斐閣,2011年)112頁

地方自治入門 (有斐閣コンパクト)

地方自治入門 (有斐閣コンパクト)