♪病気かかったらお金もかかる――。健康診断の受診率を高めようと、平均寿命が兵庫県内ワーストの尼崎市が、ラップ調のテーマソング「AMA―KEN(あまけん)レッツゴ」を作った。
 損得にシビアな関西人気質に訴えた歌詞が特徴で、市は「家庭や職場、地域で口ずさみ、健診の大切さを広めて」とPRしている。同市では、国民健康保険での特定健診の受診率が、国の目標値(65%)の半分の32・9%。市民の平均寿命(2005年)も男性77・6歳、女性84・6歳で、県平均の男性78・7歳、女性85・6歳に及ばない。
 そのため、「受診率アップで健康を」と職員らが、市民の口癖を参考にあけすけな歌詞を考案。7月にラップ調の曲として完成させ、地域の祭りなどで披露している。
 「健康だけがわしのとりえや…ご飯もぎょうさん食べてるで」「パートも行ってる 大忙し」……。実際に市民が口にした「言い訳」を歌詞に織り交ぜ、最後は決めぜりふで一喝。「それがあまいねん!」
 健診のメリットも「健診行くのが家庭を守る」「結局行ったら得すんねん」としっかり説いて、「レッツゴ!健診!YO!(要)注意!」と締めくくる。
 啓発には健診キャラクター「すすめスズメ」が活躍。休日などのイベントで歌やダンスを披露し、普及に努めている。庁内では当初、「お金のことを言い過ぎるのはどうか」との声もあったが、市民サービス室健康支援推進担当は「健康を維持することで、家計も市の財政も助かることはきちんと伝えるべき。健康な生活習慣を身につけるための受診につなげてほしい」としている。

本記事では,尼崎市における健康診断の受診率増加の取組を紹介.「健診すすめ隊」の「テーマソング」を作成.テーマソングは,ラップの「AMA-KENレッツゴ」.同取組の紹介は,同市HPを参照*1
情報提供*2を通じた政策手法のうち歌による取組.住民の方々へ,健康診断を受診するよう決して強いるものでなく,ラップのリズムに乗りつつ,自ずと健康診断の受診行動を選択をするよう促す,「スマート」*3(否,クールという表現が適切でしょうか)な手法としても整理ができそう.
歌詞*4を拝読させて頂くと,「レッツゴ!健診!YO!注意」などの,妙にファンクで語呂合わせ的なユニークで楽しい歌詞のなかにも,本記事でも紹介されているように,「事実の提示」*5もまた考えられなくもなさそうな,「病気かかったらお金ももうかる」,「健診行くのが家庭を守る」,「結局行ったら得すんねん」「税金助かるええことばっかり」と,一重に健康面のみならず家計・自治体財政の両財政面に関する情報提供を通じた,受診を促す歌詞も含まれている.
実際の同市における健康診断の受診率の推移に関しては,要(YO!)経過観察.

*1:尼崎市HP(国民健康保険ヘルスアップ尼崎戦略事業(特定健診、生活習慣病予防健診など))「健診すすめ隊テーマソング「AMA-KENレッツゴ」

*2:John,Peter(2011)Making Policy Work,Routledge:117

Making Policy Work (Routledge Textbooks in Policy Studies)

Making Policy Work (Routledge Textbooks in Policy Studies)

*3:前掲注2・John,Peter2011:128

*4:尼崎市HP(国民健康保険ヘルスアップ尼崎戦略事業(特定健診、生活習慣病予防健診など)健診すすめ隊テーマソング「AMA-KENレッツゴ」)「AMA-KENレッツゴ歌詞

*5:秋吉貴雄,伊藤修一郎,北山俊哉『公共政策学の基礎』(有斐閣,2010年),195頁

公共政策学の基礎 (有斐閣ブックス)

公共政策学の基礎 (有斐閣ブックス)