瀬戸内しまなみ海道沿線を一つの地域ととらえた観光振興を図ろうと、今治市広島県尾道市の職員が両市の共同設置による「しまなみ海道観光課」の実現に向けた議論を進めている。このほど、両市職員で自主研究グループを結成。業務内容や課題などの洗い出しを進めており、県域を超えた新しい形の自治体業務を探っている。
 国は今年8月、地方自治法を一部改正。複数自治体で共同組織をつくる場合、これまでは議会を伴う一部事務組合などの別法人を設立する必要があった。 法改正で、議会の議決と県知事への届け出で部や課などを共同で設置できるようになったことから、両市有志職員が研究実施について相談。法改正を受け、8月に両市長からそれぞれ研究グループとしての認定を受けた。

本記事では,今治市尾道市における機構改正の検討の取組を紹介.
両市では,現在は「瀬戸内しまなみ海道地域の活性化」と「地域が一体的に実施する観光振興を中心とした事業を推進することを目的」に,「尾道市今治市上島町」と「関係18団体」により「瀬戸内しまなみ海道振興協議会」*1が,「瀬戸内しまなみ海道周辺地域振興協議会」と「瀬戸内しまなみ海道観光推進協議会」を「統合」し「新組織」として2007年4月1日に設立.
本記事を拝読させて頂くと,両市では2011年5月に成立した「地方自治法の一部を改正する法律」*2第252条の7に基づき,「機関等の共同設置」*3により,「内部組織」として共同設置を検討されている模様.同法改正に向けた検討の場とされた「地方公共団体における事務の共同処理の改革に関する研究会」が取りまとめた報告書では,17の「部門」が「積極的な活用が検討されることが期待される」*4部門の一つとして「観光振興」も例示.観光資源の一体性によるものの,存外,他の自治体でも活用ができそうな制度詳細に関しては,本記事にて紹介されているように「市職員で自主研究グループ」による検討のためか,現在のところ,両市HPでは把握できず,残念.既存の協議会との棲み分け,そして,同協議会に参加されている1町との共同設置の可否なども,検討結果の公表後,要確認.

*1:瀬戸内しまなみ海道振興協議会HP「協議会概要

*2:内閣法制局HP「(平成23年10月7日現在)

*3:宇賀克也『地方自治法概説第4版』(有斐閣,2011年)71頁

地方自治法概説 第4版

地方自治法概説 第4版

*4:総務省HP(組織案内研究会等終了した研究会等地方公共団体における事務の共同処理の改革に関する研究会)『地方公共団体の事務の共同処理の改革に関する研究会 報告書』16頁(具体的には,次の通り,税務事務(特に滞納整理、資産評価),国土調査,土木(設計・積算),職員研修,観光振興,保健福祉,監査,選挙管理,会計管理・出納,消費生活センター,配偶者暴力相談支援センター,情報公開・個人情報保護審査会等の不服審査会,国民健康保険(事務),保健所,生活保護(福祉事務所),特定行政庁(建築確認等),都道府県からの移譲事務)