お茶屋や飲食店が並ぶ京都の繁華街・先斗町で近年、幅約2メートルの細長い通りに看板があふれてきたことを受け、店の経営者や住民らが今月から、通りにはみ出した屋外広告物を排除する取り組みを始めた。京都市の条例より厳しいルール「町式目」を定め、行政に頼らず、京の風情と景観を守る試み。来春には、昔ながらの情緒ある町並みがよみがえる見通しだ。
 先斗町は「鴨川をどり」で知られる先斗町歌舞練場がある三条通付近から四条通までの南北約500メートル。江戸中期、近くを流れる高瀬川を利用する旅人らを迎えるお茶屋ができたのが最初といわれる。かつては、お茶屋や料亭などの木造建築の店から漏れる光や薄暗い街灯の下で、行き交う人の袖がふれ合う情緒あふれる町だった。だが、近年は居酒屋やバーなどカジュアルな飲食店も増え、大きさや色の異なる様々な看板が急増。歩行者の頭上には、建物からせり出した看板が雑然とひしめき合う状態になっている。
 京都市屋外広告物条例では、先斗町の場合、地上2・5メートル以上であれば、店から通り側に1メートル以内なら、はみ出すことも認められている。だが、町並みの変化に危機感を抱いた経営者らが「先斗町まちづくり協議会」を結成、2009年以降、加盟店や住民ら計約350戸にアンケートを行うなどして対策を検討してきた。
 先斗町ではこれまでも住民の合意を得て路上禁煙などを町式目に定めており、今回も検討結果を踏まえ、1日付で屋外広告の規制を追加することにした。新しい町式目は、来年3月末までの移行期間を設けたうえで、通りに突き出した看板を原則禁止する内容が柱。また、地面に置く看板の大きさも市条例が定める1平方メートルの約4分の1のA2サイズとし、看板の材料や色合いも景観への配慮を求める。改善されず悪質と判断される場合は店名公表などを行うという。
 同協議会事務局長の神戸啓さん(34)(雑貨店経営)は「随所に残る景観や風情を守りながら、新しい先斗町を作っていきたい」と話している。

 町式目 京都の町衆が江戸時代、町ごとに定めていた自治管理規則。現在は2009年にできた先斗町の町式目のほか、京都に五つある花街で最大の祇園甲部京都市東山区)のお茶屋女将(おかみ)や住民らでつくる祇園町南側地区協議会も04年に策定。▽各戸が1個以上の消火用バケツや消火器を備える「火の用心」▽家の周囲を毎朝、清掃・水まきする「かど掃きの励行」▽長期間の留守は近隣に知らせる――など、近所づきあいの基本ルールとなっている。

本記事では,京都市内における町式目の取組を紹介.
本記事を拝読させて頂くと,先斗町内で「まちづくり協議会」を結成.その後,路上喫煙に関する町式目を定め,今回,屋外広告物に関する町式目を定められた,とのこと.「厳しい都市計画や景観規制を定めている」同市では「各地域住民が自主的にまちづくり憲章を定め,看板などを作成して宣言する」*1とも観察.本記事を拝読させて頂くと,同市が制定する「京都市屋外広告物等に関する条例」*2よりも厳格な規定を含まれている模様.
具体的には「通りに突き出した看板を原則禁止」をされ,いわば「横出し」を規定されている,という.加えて,同条例の第45条から第50条までに,懲役,罰金,科料に関する規定を設けてはいるもののの,方や,同町式目では,違反者には「店名公表」という,「氏名公表に関する適正手続規定」*3までが含まれる,という.「自主的な任意の宣言」ではありつつも,その実効性を確保されることが意図された「コミュニティのルール」*4づくりとしても,興味深い取組.本日のところ,同町式目は,本記事のみでの情報把握.実際の同町式目を,是非とも拝読してみたい.

*1:早川淳「コミュニティ形成のためのまちづくり条例」『自治政策法務』(有斐閣,2011年)471頁

自治体政策法務 -- 地域特性に適合した法環境の創造

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*2:京都市HP(市の組織都市計画局各課の窓口市街地景観課景観関連条例・基準集屋外広告物関係)「京都市屋外広告物等に関する条例」(平成19年3月23日,条例第32号」

*3:大橋洋一行政法 第2版』(有斐閣,2006年)399頁

行政法―現代行政過程論

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*4:前傾注1・早川淳2011年:471頁