東京都東村山市は23日、市民が市政運営を評価して来年度の渡部尚市長のボーナス(期末手当)支給額を決める「株主総会」を開く。
 同市によると、全国初の試みで、総務省も「住民が直接、首長の報酬を査定する自治体は聞いたことがない」としている。市長には年間、給与(約94万円)の3・95か月分がボーナスとして支給される。査定の対象になるのは、このうち1・35か月分。評価は5点満点で行い、平均が3点以上なら減額はゼロだが、2点以上3点未満で10%減、2点未満の場合は100%(約127万円)減となる。市は10月、無作為に選んだ市民2000人に案内を送付。これまでに84人が参加を希望している。

本記事では,東村山市における市長の期末手当の取組を紹介.市民による査定結果を踏まえた期末手当の算出の取組.同取組に関しては,同市HPを参照*1
同取組の名称は「東村山市株主総会」.「住民基本台帳から18歳以上の市民」「2千名を無作為抽出」し,「参加の申し込みをされた」市民を「株主」と位置付けて,「平成23年11月23日」の「13時30分」から「16時50分」の間で「市民センター」の「2階第1〜3会議室」にて開催された「株主総会」にて「成22年度の市政報告」*2を行い,その内容に対して「投票による市政評価」を実施.「評価結果」を「市長の期末手当の支給額に反映させる」*3もの.興味深い.
実際の同総会に関する報道は,各新聞社及び配信社の各記事では,現在のところ確認ができないものの,FNN*4,NHK*5,毎日放送*6の映像三社による報道映像を通じて,当日の内容を確認ができる(下名も昨晩のニュース報道で同取組を拝見しましたが,各新聞社・通信社では報道を行われていないのでしょうか,こちらも要確認).
同市の「常勤の特別職の職員の給与及び旅費に関する条例」に基づき,「市長」の給料月額」は「943,000円」(第3条)と規定,方や,期末手当に関しては,第4条により「給料月額と給料月額に100分の20を乗じて得た額の合計額に6月に支給する場合においては100分の190,12月に支給する場合においては100分の205を乗じて得た額」*7と規定.実額としては「およそ447万円」*8を支給.同映像を拝見させて頂くと,同評価は,「5点満点」で行われて,「5点「非常によくやっている」,4点「よくやっている」,3点「ふつう」,2点「やや物足りない」,1点「全く物足りない」の中から選」び,「評価の平均が3点以上なら,減額はゼロで全額支給」「2点以上3点未満で10%減,2点未満の場合は100%減」*9として実施された模様.
そして,「投票の結果」は「評価の平均は3.078点」*10と「現状維持」*11との評価に至った,という.なお,無作為抽出により参加された「株主」としての「市民」の皆さんに関しては,各報道では,「希望した100人ほどの市民が会場に集まった」*12,「50人余りが参加」*13と各報道によりその参加者数が異なっており,実際の数は.現在のところ把握できず.要確認.
特別職の報酬等は,いわば,「お手盛り」「定める虞」を回避するため,「附属機関として特別職報酬等審議会に諮問しその答申を得て条例の改正を行う方法が一般的」*14となり,同市においても,「東村山市特別職報酬等審議会条例」第2条に基づき,「市長は,議員報酬の額並びに市長及び副市長の給料の額」に「関する条例を議会に提出しようとするときは,あらかじめ,当該報酬等の額について審議会の意見を聞くもの」*15とされている.そのため,同総会での評価結果で,仮に条例改正を要する結論に至った場合,つまり,「2点以上3点未満」「2点未満の場合」には,同市に設置されている「特別職報酬等審議」*16での審議と意見の提示が手続的には求められる.そのため,同総会は,その対象を市長.そしてその審議の内容を期末手当に限定をされ,その委員を無作為により選出された委員により行われた,前捌き的な「特別職報酬審議会」としても整理ができそう(か).ただ,一方で,同総会の評価結果を報酬等に反映するための根拠が設けられていないため,同総会と同審議会で意見を異にする虞も内包する.来年度以降も,同取組を実施される場合には,同総会自体を同審議会として位置付けるか,又は,同審議会での同総会での評価結果を扱う手続規定を整備することも適当かとも考えられなくもない.両会議の整理に関しても,要観察.
【追記】本日のお昼に,再び気になったので,各紙を確認.2011年11月24日付の読売新聞にて報道.同記事を拝読させて頂くと,当日は「52人」が参加し,51名の有効投票のうち,「4点」が「19票で最も多く」次いで「2点」が「15票」,「1点」も「2票」*17であった,とのこと.

*1:東村山市HP( 市政情報 主な施策・計画・取り組み )「東村山市版株主総会

*2:東村山市HP( 市政情報 主な施策・計画・取り組み 東村山市版株主総会)「東村山市版株主総会」1頁

*3:前掲注1・東村山市東村山市株主総会

*4:FNN(2011年11月23日付)「東京・東村山市で市長のボーナスを市民が査定 「現状維持」という評価に

*5:NHK(2011年11月23日付)「市長のボーナスを市民が査定

*6:毎日放送(2011年11月23日付)「東村山市長ボーナス、市民の採点で決定

*7:東村山市HP(東村山市例規集 )「常勤の特別職の職員の給与及び旅費に関する条例」(昭和32年11月30日,条例第16号)

*8:前掲注6・毎日放送東村山市長ボーナス、市民の採点で決定)

*9:前掲注4・FNN(東京・東村山市で市長のボーナスを市民が査定 「現状維持」という評価に)

*10:前掲注5・NHK(市長のボーナスを市民が査定)

*11:前掲注4・FNN(東京・東村山市で市長のボーナスを市民が査定 「現状維持」という評価に)

*12:前掲注4・FNN(東京・東村山市で市長のボーナスを市民が査定 「現状維持」という評価に)

*13:前掲注5・NHK(市長のボーナスを市民が査定)

*14:碓井光明『政府経費法精義』(信山社,2008年)441頁

政府経費法精義

政府経費法精義

*15:東村山市HP(東村山市例規集 )「東村山市特別職報酬等審議会条例」(昭和43年6月24日,条例第23号)

*16:東村山市HP( 市政情報 主な施策・計画・取り組み 審議会等市政全般に関すること)「特別職報酬等審議会

*17:読売新聞(2011年11月24日付)「東村山市長ボーナス現状維持査定…市民株主総会