「人口5万人都市」への復活に向け、加西市は24日、新たに「人口増政策課」を設置する、と発表した。人口増を部課名に掲げた自治体は全国でも珍しいという。29日開会の定例議会に提案し、来年4月の施行を目指す。同市の人口は3月末時点で4万7733人。(今村正彦)
 市行政課の説明などによると、同市にはこれまで「経営戦略室」「ダイバーシティ推進課」などがあったが、市民から「何をする部署か分からない」などの意見が多く寄せられていたという。このため同市は名称変更を含めた組織改編に着手。経営戦略室を廃止し、新設する「ふるさと創造部」の中に、人口増に特化した企画や施策を進める「人口増政策課」と住民の行政参画を促す「ふるさと創造課」などを配置。ダイバーシティ推進課は「人権推進課」に変更するなどし、部署数も現在の25課から28課に増やす。市の人口は2007年3月末に人口5万人を割り込んだ後、年々減少傾向になっている。「5万人の回復」を選挙公約に掲げて5月に当選した西村和平市長は「部署名に明確なメッセージを盛り込むことで、職員も一丸となって取り組むことができる」としている。

本記事では,加西市における組織編成の取組方針を紹介.
同市の直近下位組織は,「経営戦略室」「財務部」「総務部」「市民福祉部」「地域振興部」「都市開発部」「生活環境部」*1の1室6部から構成.本記事を拝読させて頂くと,現在,「秘書課」と「総合政策グループ」「行政改革グループ」「広報公聴グループ」*2という1課3グループから構成される「経営戦略室を廃止」し,「ふるさと創造部」を「新設」.そして,同部内に「人口増政策課」と「ふるさと創造課などを配置」される方針とのこと.同編成方針は,現在のところ同市HPでは把握できず.公表後,要確認.
新たに設置される「人口増政策課」とは,課としての目的が極めて直截的に表記された「「ユニーク」な名称」*3として,興味深い.方や,所管されるであろう「人口増」のための具体的な取組は,ぼんやりと想起してみても,家族政策でもあり,福祉政策でもあり,産業政策でもあり,まちづくり(政策)でありと,まさに全庁を挙げた組織横断的な取組となることが想定されない.そのため,特段の制約がなく「自由な組織編成」*4が可能ななかで,現在の組織横断的な総括管理系の事務を分掌された組織配置により,「市長が指定するプロジェクトに関すること」と「総合調整に関すること」を所管されている,現在の「経営戦略室」(「総合政策グループ」)によりその実現を目指すこともまた可能かとも考えられなくはない.ただ,より明細性の高い名称を有する組織名へと変更されることで,その「総合調整」の優先度を高められることを想定されているのだろうか.興味深い.同課が取り組まれる「人口増」のための政策の実施状況は,要観察

*1:加西市HP(加西市例規集)「加西市の組織及びその事務分掌に関する条例」(平成20年3月24日,条例第1号)第2条

*2:加西市HP(加西市例規集)「加西市事務分掌規則」(昭和46年7月1日,規則第31号)第4条

*3:礒崎初仁・金井利之・伊藤正次『改訂版 ホーンブック地方自治』(北樹出版,2011年)184頁

ホーンブック 地方自治

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*4:稲継裕昭『地方自治入門』(有斐閣,2011年)138頁

地方自治入門 (有斐閣コンパクト)

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