足立区は二十四日、老人ホームによる入所者の財産管理をチェックする試験事業を始めると発表した。身寄りがなく、認知症で判断能力が低下した入所者の財産管理は、施設任せが現状。区が協定を結ぶNPO法人が定期的に施設を訪れて、適正に管理しているかを確かめる。
 区によると、判断能力が低下した高齢者は入所先と契約を結び、日常の買い物での支払いなどを代行してもらうのが一般的。身寄りがない場合は、レシートなどの記録をチェックする人がおらず、悪用の可能性もある。試験事業は、区内の特養老人ホームに入所し、成年後見制度を使っていない高齢者が対象。施設を通じて希望を募り、福祉業務の経験がある区職員OBでつくるNPOが二カ月に一回ほど訪れ、買い物の記録や通帳などを確認。異常な点があれば区が施設に改善を求める。五十人ほどが支援を受ける見通し。
 今月二十五日から来年度末まで実施、他の介護施設などにも適用できるかを検討する。区福祉部は「高齢化社会が進み、身寄りのないお年寄りも増加が予想される。安心して老後を暮らせるよう、どこまで支援できるか検証したい」と話している。 (小野沢健太)

本記事では,足立区における老人ホーム入所者への資産管理の取組を紹介.同取組の詳細は,同区HPを参照*1
同資料を拝読させて頂くと,「金銭管理の適正さを確認」「施設サービスの適正さを確認」しつつ,「医療サービスへのつなぎが円滑になる」こと.「身寄りのない判断能力の低下した高齢者が、必要に応じて円滑に成年後見制度を活用することができる」ことを目的に,「権利・財産の擁護を受けられていない身寄りのない高齢者」を対象に,同区とNPOが連携し「定期訪問」と「金銭管理状況確認」の「支援」を「試験実施」.具体的には,2011年「11月下旬」から2013年「3月まで」の間で「区内特別養護老人ホーム入所者を対象」.「試験実施」後に「他の介護保険施設入所者やその他のケースに適用できるかを検証」*2される予定とのこと.
手続は,同区が,介護保険施設に相談を行い,その後,同区が「判断能力レベル,親族状況,支援計画作成」の「調査」を行う.その後,「成年後見制度審査会」に「本人状況の確認,特に判断力」,「区が関与する必要性」,「支援計画の内容」に関する「審査」を依頼し,同審査会が結果を同区へ「報告」.そして,協定書が締結された「福祉系業務に精通した区職員OBが設立」した「NPO」へ「依頼」(「試験実施」ではありますが,「区職員OBが設立」が同取組の条件とされているのでしょうか,要確認).同NPOが「支援」を行い,「定期訪問」,「金銭管理状況確認」,そして「成年後見制度活用可能性」の「見極め」*3が行われることになるという.なるほど,いわゆる「市民後見制度」*4的な制度とも整理ができそう.上記の目的からも,同制度を通じて,「成年後見制度によって財産管理をする選択肢」*5の判断に至る前置的な支援を実施される模様.今後の取組状況も,要経過観察.