県議会の主要四会派が任意でつくる「議会あり方研究会」は二日、独自に策定した五カ年計画を鈴木聖二議長に提出した。医療や福祉など県民の関心が高い政策三十件を提案し、保育所待機児童数の半減など九項目の数値目標を盛り込んだ。
 今後は計画を県議会で決議するかが焦点になる。研究会座長の野本陽一県議(自民党)は「県議会の意思として確定しなければ何の意味もない」と述べたが、各会派の意見は対立。公明党県議団は「議会の意思を明確にすることが大事」(西山淳次団長)と賛成する方向だが、民主党無所属の会は「財政的な裏付けがない数値目標もあり、決議すれば無責任になる」(畠山稔代表)と反対、刷新の会(鈴木正人代表)も反対の姿勢だ。
 一方、最大会派の自民党県議団は「団内に賛否両論がある」(奥ノ木信夫団長)と、決議の是非はまだ決めていないという。計画には有識者五人の意見も反映。十月にまとめた中間案の序文に「二元代表制の一翼を担う議会として、地域の県民の要望を反映させるべく、積極的に政策立案を行うことは極めて大切」との文言を加え、意義を強調した。中間案に追加した政策目標や指標は、県立大学への医学部設置認可のための体制確立と医学部設置に向けた計画の策定▽介護などのサービス付き高齢者向け住宅数の増加▽いじめ認知件数の減少−など。 (杉本慶一)

本記事では,埼玉県議会議員における「5か年計画」策定の取組を紹介.同計画の取組に関しては,同県に「平成23年7月6日」設置され,「24人」の同県議会議員から構成される「議会のあり方研究会」が,中間報告として「県民要望を実現するための5か年計画 重点政策」*1を2011年10月に策定され議長へ提出.本記事を拝読させて頂くと,同年12月2日に成案として同計画が取りまとめられ,同じく議長に提出された模様.なお,同計画は,現在のところ,同県議会HPでは確認できず,残念.
中間報告内の「政策体系」*2を拝読させて頂くと,「1子供から高齢者まで,安心な暮らしを支える環境をつくる」こと,「2県民のいのちを守る」こと,「3災害への十分な備え,防犯・交通事故対策を強化し,安心・安全な埼玉をつくる」こと,「4埼玉の将来を担うたくましい子供たちを育てる」こと,「5文化・芸術、スポーツに親しむことのできる環境をつくる」こと,「6がんばる中小企業を応援し,埼玉の元気を高め,誰もが働ける環境をつくる」こと,「7埼玉農業の担い手を育て,地産地消を進める」こと,「8埼玉の貴重な水と緑を守り,持続可能な循環型社会を構築する」こと,「9埼玉の発展を築く都市を再生する」ことの9本の政策(施策)レベルと目される内容が掲げられており,それぞれに6本,5本,5本,2本,2本,4本,2本,3本,1本と,全30本の施策レベルでの取組を明記.本記事で紹介されている「指標」に関しては,各施策レベルよりも具体化をされた「主な取組」の名称をもつ複数の事業レベルでの取組に対して概ね一つの指標が記載されている.
「限られた貴重な資源を長期にわたって有効に利用し管理するためのツール」*3として計画を策定され,議会による「数値による管理化」*4の取組としても興味深そう.ただ,同県が策定されている『ゆとりとチャンスの埼玉プラン』においても「達成目標(戦略指標)」と「分野別施策の達成状況を最も的確に把握できる指標(施策指標)を設定」*5されている.果たして,これらの達成指標,施策指標との整合性や優先度が図られているのだろうか.それとも,これらの指標を補い,又は,更新された指標となるのだろうか.成案に記載された数値,そして,同数値の具体化に要する実施体制に関しては,同成案公表後,要確認.

*1:埼玉県HP(組織でさがす県議会議会あり方研究会が、「県民要望を実現するための5か年計画重点政策」をとりまとめ、鈴木議長に中間報告を行いました。)「県民要望を実現するための5か年計画 重点政策」(埼玉県議会 議会あり方研究会,平成23年10月)

*2:前傾注1・埼玉県(県民要望を実現するための5か年計画 重点政策)2〜3頁

*3:森田朗自治体における課題解決と政策法務の役割」北村喜宣・山口道昭・出石稔・礒崎初仁『自治政策法務』(有斐閣,2011年)77頁

自治体政策法務 -- 地域特性に適合した法環境の創造

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*4:田邊国昭「NPM型改革における「経営」と「政策助言」」村松岐夫編著『公務改革の突破口』(東洋経済新報社,2008年)38頁

公務改革の突破口―政策評価と人事行政

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*5:埼玉県HP(組織でさがす計画調整課ゆとりとチャンスの埼玉プラン(埼玉県5か年計画)指標の設定)「指標の設定