県は、県内の農産品のブランド化や販路拡大などの戦略を担当する「かながわ農林水産ブランド戦略課長」を、民間から公募すると発表した。現在の初代公募課長(62)の任期満了に伴う募集。
 商品開発や販売促進などの分野で管理職経験があることが条件。任期は来年四月から三年間で、年収は県庁課長級と同等の約九百二十万円。応募締め切りは二十二日。希望者は、職務経歴書や農産品の販売戦略をテーマにした応募論文などの必要書類を県環境農政局企画調整課に郵送などで提出する。一次選考の書類審査を経て、来年一月中旬、専門知識に関する口頭試問や面接などの二次選考を行う。合格発表は一月下旬から二月上旬になる見通し。問い合わせは、同課=電045(210)4021=へ。 (新開浩)

本記事では,神奈川県における任期付職員の公募の取組を紹介.
公募される職は,同県の「環境農政局企画調整部かながわ農林水産ブランド戦略課」の「課長」,「農林水産品のブランド戦略」*1を担当.「平成24年4月1日から平成27年3月31日まで」の2年間.より具体的には,「県内農林水産物」を「消費者の立場に立った発想と事業展開による」「ブランド化の推進」と「県内農林水産物の生産及び消費の拡大・普及」のため,「民間事業者と協同した販路拡大や商品開発による,県内農林水産物の認知度の向上と購買場所の拡大」,「「かながわブランド」の新基準による審査・登録の推進及び,県内農林水産物の普及PR」,「消費者のニーズにあった,オーダー型農業の展開」,「学校給食等による,県民への食育の推進」*2がその業務となる.
同職に「求められる資質」としては,3点示されており,まずは,「生産者団体や民間事業者と協同し,新たな販路拡大やブランド化を提案、実行できる能力を有すること」,次いで,「メーカーにおける商品開発,流通業における販売企画・販売促進活動,広告代理店における宣伝企画に関して,豊富な知見と対処能力を有すること」,第三に,「民間企業等での経験を生かした組織運営ができる能力を有すること」とされる.そのため,「応募資格」では,「民間企業等において「商品企画,開発及び宣伝,販売促進等に関する経験を有すること」と「管理職又は役員として組織をマネジメントした経験を有すること」の何れかが該当することが求められている.ただし,その経験を重視されるためか,「年齢制限なし」*3ともされている.
選考手続は2段階.まずは,「第一次選考」として「書類審査」が実施.書類選考では,「職務経歴・実績書」,そして,予め「神奈川県の農林水産業の現状を踏まえた,県内農林水産品の流通・販売戦略の今後の展開について」と題する応募論文を「2,000字以内」「A4用紙2枚程度」の分量で提出し,「職務経験・実績書及び応募論文等の内容に基づき,適性等を審査」.「第二次選考」では,「必要な専門知識、職務遂行能力及び当該業務に対する適格性等について審査」するための「口頭試問」と,「人物・性向及び管理職として必要な能力・意欲等について審査」のための「面接」*4を実施.同職の「給与」に関しては,本記事では募集要項では「任期付職員の採用等に関する条例」の規定に基づき,決定」*5との記載され,本記事では,「年収は県庁課長級と同等の約九百二十万円」と報道されているものの,「通勤手当,期末手当等の諸手当がそれぞれの支給要件に応じて支給」されることを踏まえると,同条例第7条の7号級*6に該当されるのだろうか.
2008年12月28日付以降,本備忘録にて断続的に観察する自治体人事管理における「半開き(semi-open system)化仮説」の一つとも整理が出来そうな同取組.「行政は人なり」*7という行政観察上の命題からすれば,課長職の採用を通じて,「公私の融合」による「行政営業」*8の職場の執務スタイルもまた,「公私の融合」が図られていくのだろうか.お話を伺ってみたい,観察課題.

*1:神奈川県HP(組織でさがす総務局組織人材部人材課神奈川県幹部職員(かながわ農林水産ブランド戦略課長(任期付職員))への民間人材の採用選考のお知らせ)「平成23年度 神奈川県幹部職員(任期付職員)への民間人材の採用選考のお知らせ」1頁

*2:前傾注1・神奈川県(平成23年度 神奈川県幹部職員(任期付職員)への民間人材の採用選考のお知らせ)1頁

*3:前傾注1・神奈川県(平成23年度 神奈川県幹部職員(任期付職員)への民間人材の採用選考のお知らせ)1頁

*4:前傾注1・神奈川県(平成23年度 神奈川県幹部職員(任期付職員)への民間人材の採用選考のお知らせ)2頁

*5:前傾注1・神奈川県(平成23年度 神奈川県幹部職員(任期付職員)への民間人材の採用選考のお知らせ)2頁

*6:神奈川県HP(組織でさがす政策局 政策調整部 政策法務課法規データ提供サービス)「任期付職員の採用等に関する条例」(平成15年3月20日,条例第4号

*7:大森彌『政権交代自治の潮流 続・希望の自治行政学』(第一法規,2011年)272頁

政権交代と自治の潮流 続・希望の自治体行政学

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*8:稲継裕昭・山田賢一『行政ビジネス』(東洋経済新報社,2011年)67頁

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